【銘柄分析】Ozforex (OFX) 〔2015年3月期〕

オーストラリア株式の分析記事となります。ASX上場企業であるOzforex(ティッカーコード:OFX)の分析を行いたいと思います。2015年8月26日現在、私はこの企業の株を持っております。銘柄分析には私の願望がバイアスにかかっていることを予めご了承ください。

会社概要

創業は1998年。格安で国際送金サービスを提供する会社。銀行よりも安いフィーで国際送金サービスを提供する。本店はシドニーで、オークランド(ニュージーランド)、香港、サンフランシスコ、トロント、ロンドンの6拠点体制。

会計年度は4月~3月。2015年3月期の売上は9,025万豪ドル(約81.2億円)。税引き後利益は2,426万豪ドル(約21.8億円)。それぞれ前年比24%、21%増。(円/豪ドル=90円で計算)

2015年8月26日現在、時価総額は6億2160万豪ドル。PERは25.6倍。配当金は一株当たり7.1 セント、配当利率は2.7%。2013年10月にASX上場。ASX200採用企業。グーグルファイナンスにて株価を確認できる。OzforexホームページでIR資料も確認できる。

財務諸表分析

2013年10月に上場した企業なので、過去3年分(2015年、2014年、2013年)の数値のみ入手可能。Annual Reportから筆者がエクセルで表にまとめた。

OFX ROIC

これを見ると、投下資本利益率はどの年も25%超えと非常に高い。数値からは儲かるビジネスをやっていると思われる。Ozforexのバランスシートは現金が非常に多く、流動負債(client liabilities)も多い。Ozforexは両替ビジネスであるため、お客さんの現金を一時預かって別の通貨にする間は借り方に現金、貸し方に負債(client liabilities)として計上されるからだろう。上記エクセル表の有利子負債は、負債総額からclient liabilitiesを引いた数値を概算値として算出している。(Annual Reportの注意書きにclient liabilitiesは無利子だと記載があったことを確認済。)実際の有利子負債はこれよりも小さいと思うが、保守的に算出した。

直近2015年3月31日のバランスシートは2015年Annual Reportの36ページに記載がある。。エクセルにて日本語でもまとめた。
OFX BL excel

 キャッシュが非常に多いことが特徴的である。また、負債のうちほとんどを両替前に顧客から預かっているお金であるclient Liabilitiesが占めている。これを除くと財務体質は良好であるといえる。おそらく有利子負債は無いのではないかと思われるが、一応保守的に数値を見積もるためにclient liabilities以外はすべて有利子負債という想定をしておく。

キャッシュフローの推移は以下の通り。

OFX Cashflow

フリーキャッシュフローは営業CF+投資CFを足しただけの簡単な方法で算出している。毎年順調にフリーキャッシュフローが生み出されている。固定資産への投資は行っていない(2015年の投資CF数値のうち5,000千豪ドルは金融機関への預入金とのこと)。また財務CFはほぼ配当金の支払いである。・・・ということは有利子負債はゼロではないかと推察できる。また、税引き前利益の70%を配当として払うという太っ腹にはあっぱれである。

ビジネスを維持するのに固定資産への投資を必要としていないことが分かる。

投下資本利益率が高く、直近の財務やキャッシュフローも良好であることが確認できた。

 

ビジネスモデル分析(高収益の要因)

 サービスは単純で、外国に送金しようとしている顧客に、オンラインで安い手数料で両替するというもの。Ozforex 2014年アニュアルレポートの4ページと5ページ目に具体的な手続きの流れが記載してある。Ozforexのホームページにログインし、送金先の口座を記入する。Ozforexから為替レートを提示され、これに同意した場合はOzforexの口座に入金。Ozforexは入金確認後、顧客から指定された口座に、その国の通貨で振り込む。

Ozforexは自社でFXのポジションは持っていない。送金時に顧客から手数料が基本的な収入源である。

取引回数×1回あたり当たり取引金額×手数料率=収入 という構造。

Ozforexが高収益を得られる要因を分析してみる。

【競合企業の新規参入】

近年、マネーロンダリング規制で政府による国際送金に関する規制は厳しくなっている。送金ビジネスへの参入は年々困難になっているのではないかと思われる。ビットコインを用いた国際送金は大きな脅威だが、まだ主要な送金手段になるには時間がかかるだろう。新規参入が比較的困難なビジネスではあるものの、新規参入を阻害する要因は見当たらない。

【現状の競合状況】

銀行も国際送金を手がけているが、銀行は支店を構えているためオンラインのみで運営しているOzforexより高コストだろう。また国際送金の手数料が銀行の主な収入源でもないので、銀行が本気でOzforexに対抗しようとするインセンティブはないように思われる。銀行は手ごわい競合相手ではないだろう。

似たようなビジネスモデルの競合企業は、Pepperstone.comがある。商品レビューサイトを見てみると、Ozforexは星4.3に対してPepperstoneは星3.6となっている。もちろん同じサイトではないので一概に比較はできない。Ozforexのサービス水準は高いといえるが、同業のオンライン両替ビジネスと比較して圧倒的に優れているというわけでもなさそうである。比較サイトは検索すればヒットする。(主に英語だが)

【無形資産】

各国政府からの送金ライセンスが高収益の源泉の一つだろう。国際送金は近年規制が厳しくなりつつある。ブランド、特許は高収益たる要因ではないと考えられる。

【スイッチングコスト】

顧客はすぐに他社に移れる。一般個人の利用者にとってスイッチングコストは低い。

しかし最近(2015年8月15日)クラウド上で会計処理システムを提供しているXeroとパートナーシップを結んだと発表した。Xeroのシステムにログインした状態で、外国送金をすると、自動的にOzforexの送金システムを使用することになる。ビジネス用顧客に場合はスイッチングコストは比較的高いといえる。またOzforexはTravalexなどの両替会社に、システムを提供している。

【ネットワーク効果】

多くの人がOzforexを使うほど、手数料が安くなる・・・というわけでは必ずしもない。(そうなるかもしれないが)。P2Pでの送金システムでもないのでネットワーク効果は無いというのが無難か。

【コスト優位性】

顧客にとって、両替手数料が主なサービス利用の決め手となる。オンライン両替システム、コールセンターなどを立ち上げれば、変動費は比較的少ないコスト構造なので、利用者が増えれば増えるほど、1回あたりの両替費用を安くしても十分ペイする。つまり規模の経済がある。また、オンラインで完結するため、上記の通り銀行よりも安い手数料でもペイする。

【まとめ】

政府からのライセンスと、オンラインで処理するというビジネスモデル(そして将来的・潜在的には規模の経済)に伴うコスト優位性が高収益の源泉であるといえる。

最近の状況

2015年3月期の下半期決算プレゼンテーションと2015年3月期Annual Reportの内容をまとめると以下の通り

  • 利用者数は14万3千人(前年比18%増)以前からの利用者が11万1千人、2015年3月期における新規顧客が3万2千人
  • 2015年3月期の取引回数は70万3千回(前年比21%増)。平均送金額は2万4千豪ドル(約225万円)(前年比4%増)。総取引額は166億豪ドル(約1兆5,000億円)(前年比22%増)
  • オーストラリア/ニュージーランド、北米、欧州、アジア、ホールセールどのセグメントでも取引手数料が前年比より増加。特に北米が前年比53%増。
  • 売上の大部分を占める取引手数料は前年比24%増、税引き後利益は前年比51%増(ただし2014年はIPO費用を計上しているため純粋に比較はできない)。総取引額の増加分よりも上がっている。これだけで規模の経済が働いていると断言はできないが、規模の経済の存在を否定するものではない。
  • 特に北米において国際送金ライセンスの取得を進めている。
  • 各種財務数値は上記参照。

他には上記にも記載したXeroとの業務提携などの動きをしている。

リスク

株価リスク:PER25倍はやはり高い。

事業リスク:送金ライセンスの剥奪。大規模なシステムエラー。取引銀行からの契約解除。特に3番目について、両替用の通貨は銀行から調達しており、複数の銀行と資金調達の契約を結んでいるが、そのうちの一つWest Pac銀行が2015年に送金ビジネスから撤退した。Ozforexは別の銀行に乗り換えたものの、今後十分な数の銀行からの資金調達契約を継続できるかはウォッチ要だろう。

Ozforexのビジネスモデルはハーバードのクリステンセン教授の言うところの「ローエンド破壊」だと思われる。しかし、P2P送金システムやビットコインなどの「新市場型破壊」のイノベーションが社会に普及しだすととたんにOzforexの脅威となるだろう。現時点では、各国のマネーロンダリング防止規制が強化されつつあるのでP2Pやビットコインによる国際送金が市民権を得るにいたるとは個人的には思っていない。

 

今後の展開

毎年巨額の国際送金が行われているので、Ozforexの成長余地はまだまだ残っている。

2015年8月5日の株主総会におけるCEOのプレゼンテーションの内容は以下の通り。

  • 向こう3年で売上を約2倍(2億豪ドル、約180億円)に伸ばす。そのために2017年度、2018年度に2,000万豪ドル(約18億円)をマーケティングに投じる。設備投資、運営費を半分にする。
  • 小額取引を増やす(とは明示的に書いていないがおそらくそういうことだろう。1000ドル以下の取引は全体の12%しか占めていないという資料あり。)

OFX AGM presentation

  • スマホでも取引できるようにする。
  • アメリカにおけるプレゼンスを上げる。

OFX AGM Presentation 2

 

 

そのほかに、個人的にはXeroとの提携のような他社に移りにくいビジネス顧客(優良顧客)取り込みを進めれば、まだまだ成長スピードを加速できると考えている。特に成長に大きな設備投資を必要としないビジネスモデルは非常に魅力的である。

分析を終えて

以上が分析となります。私は目標株価を置いていません。「いい企業の株はずっと持ち続ける」が正解だと思っているからです。しかし、現時点ですでにPER25倍なので上がる余地が少ないのだと思います。気長に持とうと思いますが、既にかなり高く評価されているため主力銘柄にはしないようにします。配当金もくるので保有しても精神的に安心感があります。

成長株投資を標榜している以上、テンバガー株発掘を狙ってみたいとは思っています。でも気がついたら2~3倍が関の山という株ばっかり買っているような気がしますが。まあ2~3倍になる株ばかり当てられたらそれはそれでとても凄いのですが、現実には酷いハズレも引くわけで。。

初めての分析記事でしたが、かなり消耗しました。今後の分析もこの記事がベースとなると思いますが、もうちょっと短くするかもしれません。

 

【銘柄分析】Ozforex (OFX) 〔2015年3月期〕」への3件のフィードバック

  1. まぬか

    非常に将来性を感じる会社ですが、2月5日の暴落(3.1から1.79)は何が原因なのでしょうか。
    それ以降は順調に戻してきているようですが。

    返信
    1. ディンゴ 投稿作成者

      まぬかさん

      返信が遅れて申訳ありません。これはWestern Unionからの買収提案が立ち消えになったからですね。私は3ドル台で「今がチャンス」ということで売りましたが・・・。結果としてよかったですけどね。

      返信
      1. まぬか

        ディンゴさん

        ご返信ありがとうございます。
        なるほど~。買収提案が。そういう情報がチャートに連動して出てきてくれたら嬉しいですね(笑)
        なにはともあれ、逃げ切れてよかったです。

        お返事が遅れるのは、まったく気にしていません。
        むしろ、私こそちょこちょこ質問して申し訳ありません!
        ディンゴさんの無理のないペースでおつきあいいただけたらと思います。

        それでは、今日も素敵な日を。

        返信

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