銀行業と破壊的イノベーション

オーストラリアの経済紙Australia Financial Reviewの週末版に興味深い記事がありましたので紹介したいと思います。現在、銀行が謳歌している高収益はインターネットを通じた新技術によって早晩消えてしまうだろうというものです。

記事ではマッキンゼーの銀行業に関する年次レポートを紹介していました。

現在の銀行業界を取り巻く状況としては下記のような記載がありました。

  • 2014年の全世界の銀行業の利益総額は1兆米ドルに上る。
  • 特に世界のトップ500行の利益合計は6130億ドルにのぼる。
  • このような大金を稼ぐ業界だからこそ、新たな技術でもって新規参入しようとする会社をひきつける。そのような会社への投資を行う投資家も存在する。

2014年12月に、銀行を介さないで貸し手と借り手をウェブむすびつけるピア・ツー・ピアレンディングサービスを展開するLending Clubというアメリカの会社が、IPOにて8億7000万米ドルもの資金を調達しています。ピア・ツー・ピアレンディングサービスについては、楽天証券の解説ページに分かりやすく書かれています。

これまで顧客の信用情報や、貸出ノウハウを自行内で所有し、資金の貸出をうまく管理して金利でもって稼いでいた従来の銀行のビジネスモデルと比較して、上記のようなピアツーピアサービスはウェブ上ですべてビジネスが簡潔してしまうので、非常に低コストで貸出を行うことができます。もちろん、銀行と比較すると信用情報や貸出ノウハウが洗練されていないので、貸倒れの比率も高いと思います。また顧客の視点でいうと、信用力がある顧客は、おそらく金利が高いであろうピアツーピアからは現時点では借りないと思います。しかし、将来ピアツーピアレンディングが普及し、信用情報やノウハウが蓄積されると、「安かろう悪かろう」ではなくそのうち「安いし良い」ということになれば、既存の銀行にとって大変なビジネス上の脅威になるでしょう。

ハーバード大のクリステンセン教授が指摘した破壊的イノベーションをプロセスだと思います。破壊的イノベーションについてはグーグルで調べるといろいろ解説記事が見つかります。端的にいうと、最初は既存のビジネスが提供するサービスに比べて、低コストだが質の低いサービスを提供する会社が、時を経るごとに低コストのまま、質をどんどん高めていき、いつのまにか既存企業を倒してしまうというものです。

もちろん、ピアツーピアレンディングサービスにも弱点があり、たとえばもし貸し手が急にお金を引き出してしまうような「資金の流動性が欠如」してしまう場合は、対処法がないと思います。銀行ならイザとなれば中央銀行から資金を引き出せると思うのですが、ピアツーピアレンディングサービスでは中央銀行や他の銀行からコール資金を得るのは難しいでしょう。

オーストラリアには大手銀行はAustralia and New Zealand(ANZ)銀行、Commonwealth(CBA)銀行、National Australia Bank(NAB)銀行そしてWestPac(WBC)の4つあり、この4銀行が寡占しています。私はたまたま近くに支店があったANZ銀行に口座を開設し、現在も利用しています。()内はASXの証券コードです。

この4社の2015年10月7日現在の配当利率は下記の通りです。グーグルファイナスから数値を拾っています。

ANZ: 6.53%, CBA:5.59%, NAB:6.30%, WBC:6.06%

ということで4社ともに非常に配当利率が高くなってます。

オーストラリアでは最近でこそ政策金利が史上最低の2%ですが(それでも日本のゼロとは違います)、2008年前後まで政策金利が7%以上ありました。預金利率も、2.8%くらいありますので、100万円預けたら1年後に2万8千円増えている、ということになります。よく考えたら、成長によるキャピタルゲインがない場合は預金利率以上の配当利率がないとダメだとは思いますがやはり6%台の配当利率は高いと思います。

個人的には銀行や保険株についてはどうやって評価すればいいかわからないので手を出さないようにしています。しかしオーストラリアの銀行は寡占状態で高い利益を謳歌しているのは確かなようです。

現時点で高い配当利率を誇るオーストラリアの銀行株は、インカムゲイン重視の投資家にとっては良い投資先だと思います。しかし、ピアツーピアサービスだけでなく、外国為替についても、前に私が分析したOz forexなどの格安サービス提供する会社が増えてきました。これまでの高い収益を銀行が守ることができるのか、今後10年20年の銀行業界の動きに注目したいと思います。もし、既存の銀行から大量に顧客を奪う新規参入企業が現れたら、その会社の株を購入を検討するのもいいかもしれません。実際私はOx Forexに投資しています。

破壊的イノベーションを進める会社を探し出すことができれば、大きな投資利益を得られますが、自分が気づいた時には他人も気づいてて既に株価は高くなっているわけで・・・。投資はやはり難しいものだと思います。

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