【銘柄分析】Imdex (IMD) 〔2015年6月期〕

ASX上場企業のImdex(ティッカーコード:IMD)の分析を行います。石油ガスや鉱石の探鉱活動における掘削において、採掘会社に掘削用の潤滑油や掘削時のデータマネジメントなどを提供する会社です。コモディティ価格が上がれば、採掘会社は余ったお金で探鉱活動が活発化しますので、Imdexも多くの仕事を受注します。その代りコモディティが下がれば採掘会社が探鉱活動を抑えるため、Imdexの仕事が減ります。

この会社の株を私は持っておりますので、割り引いて読んでいただければと思います。上記の通り、典型的な市況株といえます。ピーター・リンチが言うように、投資するタイミングがすべてではないかと思います。

会社概要

1980年、ピルバラゴールド社として創業。1985年に現在のImdexと社名を変え、1987年にASXに上場している。掘削回りのサービスを提供する会社として同業他社を買収しつつ成長。本社はウエスタン・オーストラリア州のパース。

主なビジネス領域は、Mining (鉱石、金・銅・鉄鉱石など)における掘削サービスと石油ガス探鉱の掘削サービスに大別される。穴を掘るためのドリルに用いる流体(潤滑油みたいなみの)や、掘削中にリアルタイムで情報を現場・本社等と共有できるITサービス等を鉱業会社・石油会社に販売している。つまり、掘削を効率的に行うための物やサービスを、鉱石や石油ガスの採掘会社に提供している会社である。

従業員は530名程度だが、本社のあるオーストラリアをはじめ、南アフリカ、ガーナ、カナダ、ペルー、チリなど世界中の天然資源が取れる場所に事務所を構えている。

近年コモディティ価格が下がっているので、コストカットに迫られている石油会社・鉱業会社は探鉱活動を減らしている。特に石油価格は2014年後半に大幅に下落したので、Imdexの石油会社向けの売上が大幅に落ちている。一方、鉱業会社(主に金や銅の生産会社)向けの売上は前年から伸びている。

会計年度は7月~6月。2015年度6月期の売上高はおよそ1億9,000万豪ドル((円/豪ドル=85円とすると約162億円)、純損失は2,250万豪ドル(約19億円)。

2014年6月期、2015年6月期ともに赤字である。

株価はグーグルファイナンスにて確認できる。IR情報はImdex社IRページにて確認できる。

鉱石の掘削サービスからの収益が68%程度、石油ガスの掘削サービスからの収益は32%程度を占めている。下記は鉱石別の売上を示した表である。金と銅が多くの割合を占めている。IMD 売上別製品

財務諸表分析

Annual Reportより筆者が過去のデータをまとめた。IMD revenue

  • 利益が出ている年度は投下資本利益率は15%を超えている場合が多い。
  • 売上高は2012年の約2億7,000万豪ドルから下落し、直近の2015年度では約1億8,800万豪ドルになっている。

次に2015年6月30日のバランスシートをまとめた。

IMD BS

有利子負債比率は17.7%と低く抑えられている。

キャッシュフローの推移は以下の通り。

IMD CF

  • 2014年と2015年は、Sino Gas Energy Holdingsという会社の株を売却することでそれぞれ2,800万豪ドル、1,700万豪ドルを調達している。株の売却をしなかった場合、借入か増資による資金調達が必要であっただろう。
  • 過去10年間でみると、フリーCFはプラスになっている。2007年はRflexという掘削データマネジメント会社を買収したことで投資CFが大きな赤字であった。
  • 純利益がマイナスになれば配当支払を大幅に減らすかゼロにしている。

ビジネスモデル分析(高収益の要因)

Imdexのビジネスモデルは鉱業・石油ガス企業に掘削関連の部材・サービスを提供するものである。非常にニッチなビジネスである。

【競合企業の新規参入】

ニッチビジネスなので大企業が参入することは少ないだろうが、それでも新規参入を止める手段はない。

【現状の競合状況】

アメリカの大手石油サービス会社であるシュルンベルジェなどが競合とはなるが、シュルンベルジェは主に石油ガスの採掘や生産に関するサービスを提供している会社であり、Imdexと直接同じサービスで競合しているわけではない。

【無形資産】

掘削のための流体やITサービス等で特許を保有している。しかし、これらの特許が収益向上に大幅に寄与しているわけではない。

【スイッチングコスト】

鉱山開発や石油ガスの現場で働く(基本的にに荒くれの)作業員は、新しい仕事のやりかたをなかなか受け入れないという話を個人的に耳にしている。かつ、ImdexのAnnual Reportでも「採掘企業は新たなテクノロジーを受け入れるスピードは遅いが着実に販売先を増やしている」との記述もある。一度販売できたらスイッチングコストは高いと考えられる。特に掘削をリアルタイムで見える化するITサービスについては、一度導入したら他社に切り替えるのは困難だろう。

【ネットワーク効果】

なし。

【コスト優位性】

Imdexが特別低コストでサービスを提供できる理由が見つからない。

【まとめ】

掘削サービスを提供するニッチビジネスと、比較的高いスイッチングコストで「コモディティ価格高く、鉱業会社が積極的に掘削を行うなら」高収益を上げることができる企業といえる。しかし景気の波に翻弄される会社である。

最近の状況

  • 2015年度は、鉱石関連の掘削サービスの売上は13%増加したが、石油ガス関連の掘削サービスの売上は15%下がった。
  • 資産のうち現金化できるものから換金している。上述のSino Gas Energy Holdings社の株を売却し、運転資金に充てている。
  • 以前は鉱石関連の掘削サービスが主力事業だったが、ここ数年石油ガス掘削サービスにも手を広げており、この事業にかなりの投資をしていた。ところが石油価格下落に伴い、石油ガス会社による掘削抑制により石油ガス部門の売上が減少。Imdexの石油ガス掘削サービス部門は、以前のような成長事業ではなく、2015年現在では会社のお荷物となっているといえる。ここまで急激に石油価格が下落するとは想定していなかったと思われる。
  • 総合すると、現状は資金繰りが厳しい状況。
  • 2015年9月には、Sankatyという金融機関(ベイン・キャピタルの関連会社)から向う3年間で5,400万豪ドルを調達する契約を締結。もともと増資で資金を手当てする予定が、株主総会の直前に上記契約を発表。土壇場まで交渉をしていたことが発覚。既存株主にとっては持ち株が希釈化されずに済んだ。

リスク

  • 競合他社にシェアを奪われる
  • コモディティ価格が更に下落して、鉱業会社・石油ガス会社が更に掘削を抑える。
  • 資金が行き詰まり倒産

最大のリスクは2番目、コモディティ価格の下落であろう。長期的にみると、世界的には人口も増え、インフラ需要も増大するとみられる。しかし、短期的には中国経済の悪化がどれほどコモディティ価格に影響するかでImdexの売上・収益性が決まってくるだろう。

3点目について、過去3年間のImdexの運転資金を分析してみた。

IMD 運転資金

絶好調の2012年から2015年に掛けて運転資金は減っている。

特に売上があまり変わらなかった2014年と2015年を比較すると、2015年は運転資金をかなり減らしており、売掛・在庫を減らして、支払を遅らせることでなるべくキャッシュを創出しようとする努力が見て取れる。

向う3年間でなんとか売上が持ち直せば、倒産ということにはならないと考えられる。Imdexの売上については、中国経済減速後の世界経済がどうなるか次第ではある。個人的には世界経済については楽観してはいる。

今後の展開

  • 鉱業用掘削サービスに注力する。
  • 石油ガス掘削サービスのうち、非主力事業を売却する。
  • 掘削に使用する機器のレンタルと伸ばし、売り切りではなく、継続的な収入を伸ばすようにする。

2015年度Annual Reportをざっくりまとめると上記のようになる。

Imdexによると、これまでなかなかコストダウンや効率化につながる技術を鉱業会社が採用してこなかったが、最近になって採用が進んできたとのこと。本当かどうか現場の声を聞いたわけではないので不明だが、コモディティ価格が下がる中、鉱業会社はコストダウンには本腰を入れて取り組んでいるためImdexの述べていることも基本的にはその通りであると受け取れると考えられる。

Annual Reportの会長からのレポートによると、「もともと景気循環の影響を小さくするために、鉱業とは異なる景気変動をする石油ガス業界向けに事業を拡大してきた。しかし、石油価格が下がった今、鉱業石油ともに不景気で、結果として景気循環の影響をいまだに多大に受けている。石油ガス会社向けのサービスは競合も激しい。いままで石油ガス事業に投資をしすぎた。鉱業会社向けの、景気に左右されない生産フェーズでのサービスを提供できるめどがついたので、主力でない石油ガス事業の事業を整理する」との記載がある。今後はなるべく景気循環の影響をできるだけ小さくする形で、鉱業会社向け事業を広げていくという計画である。

過去の株式バリュエーション

過去の株価と一株あたり利益、PER等をまとめた。

imd Share Price

市況株なので、絶好調時でもPERは10倍~15倍が関の山である。

私は2015年10月現在Imdex株を持っているが、株価2.00ドルを目標に保有していきたいと思っている。逆に2.00ドルになれば自動的に売る予定である。

分析を終えて

Imdex株は完全に市況株であり、景気の絶頂時にPERが低いと思って買うと大やけどしていまうと思います。逆に今はコモディティ生産企業にとって景気の底だと思いますので、今仕込んでおけば3~5年後には上昇するのではないかなあと希望的観測をもっています。

上記の2ドル目標は全く根拠がないのですが、もしかしたら1.5ドル程度で売るかもしれません。

「良い株を長く持つ」というポリシーではありますが、資源企業が多いオーストラリア株式市場ですので、市況株にも手を出してみようと思った次第です。

この会社、Imdexという社名のせいでなかなか会社ホームページで検索でヒットしません。Imdexとグーグルで打ち込むと「INDEX」で検索されることが多々あります。Imdex PerthとかImdex ASXとかIMD ASXとかで検索するとやっと会社ホームページにたどり着きますが、それでも1番上でないことが多いです。つまり、なかなか注目されにくい会社だといえます。ピーターリンチのいう「バカらしい社名」というわけではないものの、その社名のせいで検索されにくい、つまり注目を集めにくい会社かと思います。これは逆に言うと収益を伸ばしてもなかなか気づかれにくい(仕込みのチャンスがある)会社ではないかな、とも思います。

今回の記事をもって、私の持ち株全ての分析を終えました。今後も高成長株の分析を進めたいと思います。高配当株も併せて分析しようと考えています。

 

 

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