【銘柄分析】Neometals(NMT)〔2015年9月末時点〕

オーストラリアには豊富な天然資源があります。特に大量の天然ガス・石炭・鉄鉱石があります。石炭はクイーンズランド州やニューサウスウェールズ州といった大陸の東側でよく取れ、鉄鉱石は大陸の西側、ウエスタンオーストラリア州に豊富な埋蔵量があります。その他にも、金・銀・銅・ニッケル・マンガン・その他非鉄金属も豊富に存在しています。

鉄鉱石や石炭は、BHP BillitonやRio Tintoといった大企業が採掘しています。鉄鉱石や、石炭やボーキサイトは大規模な鉱床が周辺に広がっている場合が多く、大規模開発すれば単位あたりの生産コストが減らすことができます。よって、採掘には規模の経済が働くため、大企業による採掘が一般的となっています。

一方で非鉄金属の場合はあまり鉱床が連続して続いていない場合が多く、大規模な開発にならないことがままあります。よって、非鉄金属は小規模な会社が採掘を行うことが一般的です。ちなみに非鉄金属は特にウエスタンオーストラリア州に豊富な埋蔵量があり、州都であるパースには多くの小規模鉱山開発会社「ジュニア・カンパニー」が本社を構えています。(普通の一軒家が上場企業本社だったりします。)

今回はジュニア・カンパニーの1社であり、ASXに上場しているNeometals(ティッカーコード:NMT)について分析したいと思います。

会社概要

David Reed氏とChristopher Reed氏の親子がそれぞれ会長・社長を務める小企業。もともと親父さんは株式ブローカーを務めていたり、他の小規模資源会社の取締役を務めていたりする活発なビジネスマン。息子のChris氏も同じく株式ブローカーや資源会社で活躍していた。

2001年にNeometalsを立ち上げた後、カネになりそうな鉱物なら何でも(金・銀・ニッケル・リチウム・チタン・バナジウム)物色していた。

そうこうしているうちに、リチウム・チタンの鉱山の権益を購入し、開発に向けて調査・他企業との連携を模索していた。

会計年度は7月~6月。

2015年6月期の売上は41万ドル(約3485万円、1豪ドル=85円)、純損失は1031万ドル(約8億7600万円)。今のところ未だにまともな売上はない。よって、当記事では過去の財務分析は割愛する。

株価はグーグルファイナンスで確認できる。IR情報はNeometals社ホームページにて確認することができる。(小さな会社にしては見やすいホームページだと個人的には思います。)2015年11月5日現在、時価総額は8900万豪ドル(75億6500万円)とかなり小さい。

直近のキャッシュ

まだまともな売上がないので、過去の財務分析より直近の金回りを確認する。

2015年9月末の四半期報告書によると2015年7月~9月の営業キャッシュフローは-111万豪ドル、財務キャッシュフローは+2763万豪ドル、投資キャッシュフローは- 2万ドルで、9月末の現金残高は3403万豪ドル(28億9000万円)。特に生産案件や開発案件があるわけではないので、大きなキャッシュアウトはない。十分なキャッシュがあり倒産の心配はない。

最近の状況

時系列で書くと下記の通り。

  1. Neometals、マウントマリオン(Mt Marion)というリチウム鉱山の権益を購入。調査の結果、相当量のリチウムを生産できることが判明。しかし自分では生産できないのと、販売先がないので、「リチウムを生産できる企業」と「販売先」を探したし、提携を模索。(マウントマリオン鉱山権益: Neometals100%)
  2. Neometals, 過去に鉱山開発・運営の豊富な経験があるMineral Resources(MR)という会社と提携。マウントマリオン鉱山の開発・運営をすべてMR社に委託すことをMR社と合意。また、開発費用をすべてMR社に負担させることに合意できた。(マウントマリオン鉱山権益: MR社30%、Neometals70%)
  3. Neometals,2015年7月に中国NO2のリチウム製品の生産企業である中国のガンフォンと販売契約を締結。マウントマリオン鉱山からのリチウムを生産が続く限りガンフォンが購入。ガンフォン側も鉱山権益25%を約2000万豪ドルで購入。(マウントマリオン鉱山権益:Neometals45%, MR社30%, ガンフォン25%)。

上記の通り、ウエスタンオーストラリア州にあるマウントマリオン鉱山の開発にめどがつき、最近投資意思決定が行われた。2016年半ばに生産開始予定である。Neometals社は開発費用を負担しない形で鉱山開発ができ、かつ販売先も固まったことで、会社として一応の基盤は固まったといえるだろう。

マウントマリオン鉱山地図NMT Mt marion

マウントマリオン鉱山の開発方法については、ユーチューブにわかりやすい説明をNeometals社がアップしているので参考になる。鉱山でとれたリチウムは、トラックで南に運ばれてエスペランスという港から中国に輸出されることになっている。

ちなみにマウントマリオン鉱山の権益について、Neometalsは、MR社とガンフォンに1%あたり約200万豪ドル弱で最大31.2%の権益譲渡できる契約になっている。

ホームページやホームページに貼ってあるリンクのアナリストレポートによるち、マウントマリオン鉱山から低コストでリチウム生産が可能であるとのことだが、真偽が不明。とはいえざっくり考えると1%あたり約200万豪ドル弱という権益価格からすると、同リチウム鉱山の価値は2億豪ドル(170億円)程度、もし近隣にリチウム鉱床が広がっていたらそれ以上の価値になると考えられる。そのうちNeometalsは45%の約9000万豪ドル弱の価値を保有している考えられる。鉱山の価値は販売価格や埋蔵量により大きく変動するので、安全サイドでNeometalsの45%権益は5000万豪ドル程度の価値があると考えるとよいだろう。

リスク

  • 販売先が倒産する。
  • 開発費高騰のリスクはないが(MR社が負担するため)開発中に事故等で生産開始が遅れる。運営コストが想定を上回る。
  • 埋蔵量が当初想定時より少ない。
  • 政府から鉱山運営に必要な承認を取り消される。
  • リチウム価格が当初想定時よりも低い。

考えられる限り上記のようなリスクが思いつく。過去にいくつもの鉱山開発・運営を手掛けたMineral Resources社が権益を購入してまで参入しているので、上記のリスクは少ないと考えてよいだろう。また、販売先についても中国という若干の不安はあるものの、中国では大気汚染を防ぐ取り組みとして電気自動車の普及が図られているらしく、リチウム電池の原料であるリチウムの需要は引き続き旺盛と考えられる。世界的に電気自動車や家庭用蓄電池などが本格普及前夜と言われているなか、価格も安定的に推移するだろう。

今後の展開

Neometals社はマウントマリオン・リチウム鉱山以外にチタン鉱山、ニッケル鉱山の権益を保有している。ニッケル鉱山の権益は他社に売却する意向だが、バランビー・チタン鉱山(場所は上記地図”Barrambie”参照)の開発を進めるべく、調査を開始している。同鉱山の権益はNeometalsが100%保有している。

直近の四半期活動レポートによると、バランビー鉱山の税前利益の現在価値(割引率12%)は3億5500豪ドル(約302億円)とのこと。

当然開発にいたるまでに、運営会社や販売先を見つけて、うまく提携したり、必要な政府承認等をとったりと、技術面以外でのリスクはまだまだある。

株式バリュエーション

2015年11月5日現在時価総額が8900万豪ドルだが、2015年初と比較して6倍以上になっている。(マウントマリオン鉱山開発の発表は今年7月。その少し前あら株価が急激に上がっている。)

上記にも書いたが、マウントマリオン鉱山の45%権益だけで安全サイドで考えても5000万豪ドルの価値があり、かつ現在キャッシュを3400万豪ドル保有している。(ガンフォンに売却した権益25%の対価27万豪ドルによりキャッシュリッチになった。)。ということはこれだけで現時点で8400万豪ドルの企業価値がある。

これにプラスしてバランビー・チタン鉱山開発が成功したら株価は大幅に上昇するとみられる。アナリストレポートによると、株価は現在の0.175豪ドルから0.42豪ドルまでは上がるだろうと予測している。現在の株価はマウントマリオン鉱山の価値までしか評価していないことになる。よって個人的にはエイヤで0.4ドルが目標株価と設定する。しかし、バランビー鉱山がいつ開発されるか、現時点では不明で、株価がずっとこのまま0.175ドル前後をさまよう可能性もある。

分析を終えて

現在、私には追加投入できる現金がありません。一応ハイリスクハイリターンの資源関連銘柄としてImdex株やTranserv株をすでにかなり大量に保有していることから、Neometalsのようなハイリスク株への投資は避けようと思っています。

しかし分析してみれば意外とリスクはないのかも…とも思った次第です。とはいえ、AinsworthやOzforexを売るにも忍びなく…ひとまず様子を見ようと思います。もしバランビー鉱山に関する前向きなニュースがあれば株価は一気に吹き上がるでしょう。

オーストラリアは資源関連会社がBHP Billitonのような大企業(ちなみにASX上場企業のなかで時価総額1位がBHP Billiton)から一軒家に事務所を構えるような零細企業まで多数上場しています。零細企業で自らは運営する能力がなくとも、うまく他社と連携することで大化けする零細資源企業もあり、Neometalsそのような零細企業の成功モデルといえます。

オーストラリアは上記のような、資源関連の「一発あたれば株価が吹き上がる」という荒々しい(?)銘柄に投資できます。もちろんリスクも高いですが、鉱山開発や石油開発はなぜかロマンを感じるもので(私だけでしょうか…)、リスクが高いと分かってはいながらもどうしても成功したときを夢見て甘い想定の分析になってしまいます。個人的にはNeometalsも将来が非常に楽しみな会社です。

一応ハイリスク銘柄への投資は一定程度に抑えておく、という方針で今後も乗り切っていきたいと思います。

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