オーストラリアの永住権と中国人富裕層

今回は、投資ではなくオーストラリアのビザ制度やそれに関する私の感想を書き綴りたいと思います。

とある本を読んでなるほどと思った世界の国々の分類があります。世界の国は、「収容所国家」と「避難所国家」に分けることができるという内容でした。

「避難所国家」というのは、あやふやな定義ですが「世界中から人々が避難してくる国、つまり居心地のいい国」であるといえるでしょう。逆に「収容所国家」は、その中に住んでいる国民が、外に出たくても出られないという「居心地に悪い国」といえると思います。「避難所国家」の例としてアメリカ・カナダ・ニュージーランドそして私が住んでいるオーストラリアなどが挙げられます。「収容所国家」の例としては、北朝鮮・中国など独裁国家が挙げられます。

オーストラリアに住んでいると、サービスや商品はすべて日本の倍の価格なのに、質があまりにも低くてうんざりすることが多々あります。とはいいつつも気候が良くてみんなフレンドリー、仕事は日本ほどきつくないのに給料は日本の倍以上、医療や年金等各種制度は整った先進国ということで間違いなく「居心地のいい国」であると言えます。

避難所国家であるオーストラリアは世界中から移民を受け入れています。オーストラリアへの移住を実現するには、永住権を取得する必要があります。永住ビザに関しては、インターネットで詳細に解説しているページがありますのでここでは簡単な紹介にとどめたいと思います。永住権には複数の種類があります。

1.オーストラリア人と結婚して永住権を得る。(配偶者ビザ)

2.オーストラリア企業が「この人は替えがきかない。雇用し続けたいから永住権を取ってほしい」と国に依頼する。そして永住権を得る。(雇用主指名ビザ)

3.オーストラリアが来てほしいと望む、高度な技術を取得したうえで永住権を取る。(歯科衛生士、看護師、調理師、ITマネジャーなどなど)

4.オーストラリアに多額の投資をする。一定以上の金額を政府が指定する投資先(ベンチャーキャピタルなど)に投資する。

 

国際結婚でもしない限り、オーストラリアで永住権を得るには、「オーストラリア企業で働く」「手に職をつける」「まず日本で富裕層になって、オーストラリアに多額の投資をする」の3択といえます。

「オーストラリア企業で働く」と「手に職をつける」パターンの永住権取得は年々ハードルが高くなっています。まずは年齢もある程度若くない(50代以上は厳しい)と取得が困難であること、そして何といっても「英語力」です。IELTSという英語のテストで高得点を出さないといけないのですが、これがTOEICと違ってスピーキングとライティングがあるので日本人にはかなり厳しいと思います。

「富裕層がオーストラリアに多額の投資をする」場合は、上記のような年齢や英語力の制限はありません。基準以上の金額を投資すれば永住権を得ることができます。

Significant Investor Visa(SIV):500万豪ドル以上を4年間にわたり投資する。また、年間40日以上オーストラリアに滞在する。

Premium Investor Visa(PIV):1500万豪ドル以上の投資を1年間実施することで永住権を取得できる。

PIV制度は2015年7月から始まりましたが、非常にハードルが高い制度です。富裕層であることは必要条件ですが、高度なビジネススキルがあるとオーストラリア政府が認定する人しか、そもそもこのビザ制度は利用できません。新聞記事によるとシリコンバレーのIT起業家をターゲットにしているようです。オーストラリアでもIT企業を立ち上げて経済に貢献してほしい、というのが本音のようです。しかし「そもそもアメリカ人がわざわざ似たような国であるオーストラリアに来るか?」と懐疑的な意見もあります。日本人でこの制度を利用するのは非常に困難でほぼありえないと言えるでしょう。

SIV制度は、PIVと比較するとハードルは低いです。あくまでも500万豪ドルを政府指定の投資先に4年間投資すればOKです。日本人の富裕層で(かつ英語が苦手な方で)オーストラリアに移住したい方は、このSIV制度利用することになるでしょう。

SIV制度は開始以来約2000人弱の申し込みがあり、その90%は中国人だったようです。中国人の多くはシドニーのあるニューサウスウェールズ州に移住しているようです。上記でも書きましたが「収容所国家」である中国から「避難所国家」であるオーストラリアに移住したい中国人富裕層は多いのでしょう。

私もオーストラリア在住の中国人に知り合いがいますが、彼らが口をそろえて言うのは

・共産党を全く信用していない。いつ過酷な財産没収があるかわからない。

・大気汚染がひどく、医療制度などがすべて劣悪だ。

・シドニーは中国人も多いし暮らしやすい。オーストラリアは制度がしっかりしているので安心だ。

・子供には英語で教育を受けさせたい。

・ぶっちゃけ日本は好きだよ(笑)

などなどです。中国で財産を築いても、いつ独裁政権である共産党に財産を持っていかれるかわからないという不安が富裕層の間では根強いようです。そんなわけで中国人富裕層は、欧米に移住してより快適な暮らし・財産が取られないという安心を得ようと移住するわけです。まるで収容所から脱出するかのようです。

カナダにも多額の投資をすれば永住権を与える制度がありましたが、「この制度を利用して移住するのは中国人富裕層ばかりだ。中国人富裕層は移住後にカナダ経済に貢献しない」ということで廃止してしまいました。永住権申請中の中国人富裕層は激怒して訴えを起こしたらしいですが、どうなったのでしょうか…。

カナダと違い、オーストラリアは中国人富裕層ウェルカムの姿勢を継続しています。中国人富裕層からすると、「避難所」の一つであるカナダが閉じてしまったので、オーストラリアがウェルカムなうちに移住するしかないと思うのでしょう。

お金を持っている中国人が大挙して移住するので、シドニーや次に人気のメルボルンの不動産価格はすごい勢いで上昇しています。シドニーにいたってはあまりに家賃が高すぎて、学校の先生が都心に住めない事態が起こり、どうしようかという議論もあるようです。

今のところ中国人富裕層が投資する対象は不動産です。しかし、そのうちにオーストラリア株にも投資を始めることでしょう。実際、中国の政府系企業はオーストラリアの電力網やガスパイプラインといったインフラ資産の権益購入を加速しています。

今後も「収容所国家」である中国から富裕層が脱出し、「避難所国家」であるオーストラリアに移住し続けるでしょう。そして彼らが株取引を始めると・・・オーストラリア株の株価水準が今よりも上がるかもしれません。

日本はまだ中国のように富裕層が大挙して国外移住するような事態にはなっていませんが、外国に保有する資産が5000万円を超える場合は税務署に報告する義務を負わせたり、マイナンバー制度といった明らかに富裕層の資産課税を狙っているとしか思えない最近の日本政府の動きに警戒し、国外移住を図る富裕層が増えてくるかもしれません。日本も「収容所国家」になってしまうのでしょうか。今後の政府の動きを注視していきたいと思います。

何が言いたいのかよくわからない記事となりましたが、オーストラリアはお金持ちが安心して投資できる国ですよ、という状況証拠として、中国人富裕層がたくさん来ていることをつらつらと書きました。

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