【銘柄分析】Pilbara Minerals(2017年6月時点)

最近仕事がとても忙しくて、なかなかブログを更新する時間がありませんでした。でも仕事は正念場、もうひと頑張りすれば大きな成果が得られるところです。

それはさておき、最近新たに投資をしたのでその銘柄を紹介したいと思います。といっても結構リスクがある投資なのですが・・・。会社名はPilbara Mineralsというリチウム鉱山を所有する会社です。

会社概要

Pilbara Minerals(PLS)は西オーストラリア州パースに拠点を置く、リチウム鉱山を所有する鉱業会社である。

PLSはオーストラリア北西部、西オーストラリア州のピルバラ地域に位置するPilgangooraリチウム鉱山を100%所有している。この鉱山は、鉱石系のリチウム資源では世界最大である。(かん水系のリチウム資源はボリビアのウユニ塩湖)地図は以下の通り(会社資料より)。

PLSは生産アセットを保有しておらず、Pilgangooraプロジェクトの生産開始によりはじめてキャッシュフローを得ることが出来る。

これまでPilgangooraプロジェクトの生産開始に向け、販売先の確保・資金調達・政府からの生産ライセンスの取得などを進めてきた。

中国の大手リチウムバッテリーメーカー2社との売買契約を締結し、さらに同プロジェクトの開発に必要な資金も確保したため、PLSは先週末の6月23日に同プロジェクト開発の意思決定を下した。

同社の株価はグーグルファイナンスで確認できる。2017年6月26日現在、時価総額は4億6000万豪ドル(386億円, JPY/AUD=84)である。IR情報は同社ホームページから確認することができる。

財務諸表分析

まだ収入がないので、過去のBS/PLの傾向を示すことなく、現時点の同社の財務状況を確認する。特に、PLSがPilgangooraプロジェクトの開発に必要な資金を調達できているのか確認する。

2016年12月31日時点での同社のBSは以下の通り。

2016年12月末時点では有利子負債はゼロ、ほとんどが純資産で資金調達できている。

Pilgangooraプロジェクトを進めるための資金調達状況を以下の通りまとめた。

同社は、この3か月間で立て続けに新株発行や債券の発行を実施し、Pilgangooraプロジェクト開発に向けた資金調達を完了している。

Pilgangooraプロジェクト概要

会社発表のプロジェクトの概要は以下の通り。

  • Pilgangooraの埋蔵量:1億5600万㌧のリチウム鉱石(1.25%Li2O, ここから販売用リチウムを精製する)
  • 生産量:200万㌧(1.25%Li2O)/年、生産期間36年間。
  • 副産物としてタンタルも生産される。これもリチウムと同じく販売する。
  • 生産されたリチウム・タンタルはトラックで北のPort Hedland港に運ばれ、中国の買主に船で出荷する。
  • General Lithium社(6年間)とGanfeng Lithium社(10年間)および 山東瑞福(2018年末まで)と売買契約を結んでいる。生産されたリチウムはこれらの3社に出荷される。
  • プロジェクトのNPVは709百万豪ドルで、IRRは38%(ディスカウントレートは10%)
  • トータルの生産コストは319米㌦/トン、販売価格は537ドル/トンを想定(ちなみに2016年12月の価格は約900ドル/トン)

リスク

様々なリスクが考えられるが、収益への影響力が大きくおよび発生確率が高い(と思われる順)に列挙すると以下の通り。

  • リチウム価格が537米㌦/トンを下回る。
  • 開発費が計画より上回る。
  • 操業費が計画より上回る。
  • リチウム埋蔵量が想定よりも少ない。
  • 鉱山運営権を政府からキャンセルされる。
  • 販売先が倒産する。

PilgangooraプロジェクトおよびPilbara Minerals社ともに、将来の成功は今後のリチウム価格にかかっている。

今後の展開

今後は、鉱山開発に向け各種コントラクターと契約し、実際に重機で地面を掘ることになる。計画通りに開発が進まない可能性もあるため、リスクはゼロではない。しかし必要な政府認可を取得し、売り先も確保し、資金調達も完了したため、プロジェクトのリスクは低いとはいえる。

更に今回のStage1が成功した後に、Stage 2として追加のリチウム鉱石200万㌧/年の生産も計画されている。(NPVにはStage2は含まれていない)

株式バリュエーション

2017年6月26日時点の株価は0.36豪ドル。(460百万豪ドル)

PilgangooraプロジェクトのNPVが709百万豪ドルなので0.55豪ドルまでは上昇可能といえる。

もしリチウム価格が537米ドル/トンを上回れば、(理論的には)株価はさらに上昇することになる。

分析を終えて

将来のリチウム価格が現在の900米ドル/トンであれば、株価はおそらくこの5倍以上にはなるのかなと思います。そう思ってこの企業に投資しました。捕らぬ狸の皮算用ですが(笑)

リチウムの需要はパソコン・スマホ用の民生用だけでも伸びていますが、テスラモーターのみならず、世界中でEV向けのバッテリー、さらに再生可能エネルギー用途のバッテリー(昼間に発電した太陽光の電気を貯めるバッテリー)などの需要が伸びているため、価格は高止まりするのではないかと思っています。需要という意味では中国は非常に重要な地位を占めています。2020年までは、中国政府によりリチウムイオンバッテリーならびにEVに補助金が支給されるため、リチウムへの需要が爆発的に伸びるとみられています。中国政府は、電気自動車の普及を進めることで、都市部の大気汚染の緩和と、電気自動車産業の育成を図っていると言われています。一方で、世界の他の地域からリチウムの供給が増えると価格が下がってしまいます。

リチウムは主に鉱石系のリチウムとかん水系のリチウムとがあります。Pilgangooraプロジェクトは鉱石系のリチウム資源で、これらはオーストラリアに多く存在しています。

一方かん水系のリチウムはアルゼンチン・ボリビア・チリの塩湖に多く存在しており、世界の埋蔵量の70%はこれらの3国にあります。

かん水系のリチウムのほうが生産コストが低いとされており、リチウム価格が下がると鉱石系のPigangooraプロジェクトは競争力を失い、採算割れする可能性もあります。

しかしながら、ボリビアは左派政権により外資企業による投資を受け入れないような制度もあり、リチウム資源開発が進んでいません。さらに内陸国なので、リチウム資源の商業的開発には様々な制約があるため、そう簡単には開発は進まないでしょう。チリやアルゼンチンのプロジェクトは成案中のみならず開発検討中のプロジェクトがいくつかあります。

リチウムの需要は間違いなく伸びるでしょうが、他プロジェクトからの供給により価格がどうなるかは予測が困難ではあります。しかしここ10年でスマホがあっという間に普及したように、向こう10年は電気自動車がハイペースで普及するのではないかと思います。中国一国だけでも大変なインパクトがあります。

今後はリチウム価格は高止まりをするという想定と、プロジェクト開発の資金調達が完了した(=他の金融機関もプロジェクト成立にお墨付きを与えた)という事実から、PLSの株を購入しました。今後の値上がりを大いに期待したいと思います。さてどうなることやら。

【銘柄分析】Pilbara Minerals(2017年6月時点)」への4件のフィードバック

  1. HB

    テスラもオーストラリアに拠点を作ってきていますし、
    これから当面はリチウム電池、特に電気自動車の時代は間違い無さそうですからね。
    私も似たようなところで、Lithium Power International を少しだけ買っています。
    未知数の部分も大きいですが、その分リターンも大きいことを祈りたいですね。

    返信
    1. ディンゴ 投稿作成者

      HBさん

      仰る通りテスラがサウスオーストラリア州に送電ネットワークに接続するリチウムイオン電池の設置を発表していましたね。
      サウスオーストラリア州は再生可能エネルギーが増えすぎて電力が不安定になり、昨年大規模な停電が起こってしまいました。
      風力や太陽光で発電した電気を一度蓄電池で貯めることで、電力供給を安定化する狙いがあると思います。
      電気自動車だけでなく、送電線につなぐ蓄電池用途にも伸びると思っています。

      Lithium Power Internationalですか、チリでリチウム鉱山の開発をすべく検討をすすめていますね。チリの方が低コストで生産できるので
      当たればPilbara Mineralsよりも大きいと思います。当たることを祈っています!

      返信
  2. ブリスベン

    こんにちは。株式投資初心者の者です。
    ディンゴさんの分析を拝見させて頂きました。すごく詳細でしっかりとした分析で驚きました。
    ディンゴさんは豪でめぼしい株を見つける際、スクリーニングツールか何かを使われていらっしゃるのでしょうか? 豪で投資家の方々がどのようにスクリーニングされているかすごく興味があります。もし宜しければご返信頂けたらと思います。

    返信
    1. ディンゴ 投稿作成者

      ブリスベンさん

      有難うございます。実はスクリーニングツールは使っていないです。新聞で見かけた企業とか、Google Financeでさっと見たりとかぐらいですね~。
      お役に立てずすみません。みなさんオーストラリア株のスクリーニングツールどんなの使っているのか私も興味あります。できれば無料のツールを使いたいと思いますね。
      とはいえ現時点ではスクリーニングツールが無くてもあまり困っていないので・・・とりあえず今はGoogle Financeを見ればいいかなと考えています。

      返信

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