【銘柄分析】REA Group(REA)〔2016年6月期〕

今回はオーストラリア最大の不動産サイト「realestate.com.au」を運営するREA Groupについて紹介します。オーストラリアに住んだことがある人は、おそらく一度はrealestate.com.auにて物件の検索をしたことがあると思います。私もこのサイトから今住んでいる家を見つけました。見つけてから不動産エージェントと話をして、いろいろ契約して・・・と物凄く面倒だったことを覚えていますが・・・。

過去の話はともかく、この会社はこの10年間で目覚ましい成長を遂げており、今後はオーストラリアだけでなくヨーロッパ・アメリカ・アジアでもビジネスを成長させようとしている、個人的に注目している会社です。

会社概要

REA Groupはオーストラリア最大の不動産サイト「realestate.com.au」を運営している会社。1995年創立で、本社はメルボルン。REA Groupの親会社はメディア大手のNews Corpである。

ビジネスモデルは、「物件を販売したい業者や、客付けをしたい不動産エージェントが、REA Groupに広告料を払ってrealestate.com.auに物件を掲載する」という広告ビジネス。掲載方法は、ただ単に物件を掲載する一番安いStandard から、目立つ場所に物件を掲載でき、早期の客付け・売却が期待できるPremiereまである(当然その分だけ掲載料は高くなる)。

会計年度は7月~6月。2016年6月期の売上は約6億7100万豪ドル。(約509億円:AUD/JPY=76)、純利益は約2億5300万豪ドル(約192億円)。

株価はグーグルファイナンスで確認できる。IR情報は同社ホームページより確認できる。

財務諸表分析

Annual Reportより筆者が過去のデータをまとめた。

REA 売上推移

成長率が10年で平均25%と典型的な高成長企業。純利益率が非常に高い。さらに年々純利益率が上がってきている。過去10年間の業績は、文句の付けどころがないと言える。

2016年6月30日のバランスシートは以下の通り。

REA BS

有利子負債比率は33%と低い。この有利子負債は2016年にアジアの同業、iPropertyを買収するために調達したものである。

キャッシュフローの推移は以下の通り。

REA CF

順調にキャッシュを積み上げている。2015年以降は、上記iProperty社の買収に資金を投入しているためフリーキャッシュフローはマイナスとなっているが、基本的に設備投資が不要なビジネスモデルなので、今後はフリーキャッシュフローがプラスとなるだろう。

ビジネスモデル分析(高収益の要因)

いわゆる広告ビジネス。サイトを訪れる人が多ければ多いほど、不動産業者も高い掲載料を払ってでも物件を掲載したくなるし、物件が多いのでサイトを訪れる人が多くなるという、一人勝ちが可能なビジネスモデルといえる。

【競合企業の新規参入】

新規参入を拒むものは特にない。主な競合としてDomainがある。ちなみにDomainの親会社はFairfax Mediaで、経済紙のAustralian FInancial Reviewなどを発行しているメディア企業。全国紙The Australianを発行しているREA Groupの親会社News Corpとは競合している。

【無形資産】

インターネットで物件を探す/売る=realestate.com.auという図式はある程度オーストラリアでは確立しつつあるように思う。

【スイッチングコスト】

下記のネットワーク効果に含まれるため、割愛する。

【ネットワーク効果】

上記に記した通り、サイトを訪れる人が多ければ多いほど、不動産業者も高い掲載料を払ってでも物件を掲載したくなるし、物件が多いのでサイトを訪れる人が多くなるという、典型的なネットワーク効果が発揮されるビジネスモデルである。

REA 競合との比較

REA Groupの投資家向け資料によると、サイトの訪問者数や滞在時間、ページビュー数は二番手の競合(Domain)と比較して倍以上の数値を達成している。

物件を売りたい人は、より多くの客が訪問するrealestate.com.auに高い掲載料を払ってでも物件を掲載することになる。

REA 競合比較その2

売りに出ている物件のうち、94%はrealestate.com.auに掲載されており、かつサイトの訪問者も92%が「購入」ページを訪れる、つまり、単に見るだけでなく「買うつもりのある」人がサイトを訪れる、と投資家向け資料では説明している。挑発的ではあるが「realestate.com.auに物件を掲載しないと、売りに出していないのと同じ」とも意訳できる言葉を掲載している。まさにこの状態がREA Groupにとって理想の状態と言える。

【コスト優位性】

掲載物件が多くてもたいしてコストはかからないので、規模の経済は実現できる。

【まとめ】

「みんなが利用しているから、より多くの人が利用する」という、ネットワーク効果を活用した、非常に強固なビジネスモデルを築けている。

最近の状況

2015年にアジアで不動産広告サイトを運営しているiPropertyの19.9%の株式を購入していたが、2016年に全株式を購入し買収を完了した。

REA ビジネス世界地図

上記の通り、オーストラリア以外にもアジア・ヨーロッパ・アメリカで不動産サイトを運営している会社に参画している。2016年6月期の売上のうち90%はオーストラリア国内で、残りが国外となっている。

リスク

競合サイトの成長で顧客が流出してしまうのが最大のリスクといえる。オーストラリアではマーケットシェア1位を維持できており、このリスクは現時点では低いと考えられる。しかし、競合のDomainはシドニー・メルボルン意外の州にも打って出る動きを見せている。

投資家から見たリスクとしては、REA Groupが海外に進出するためにむやみやたらに投資し、結局マーケットシェアを取れずに損害を出す、というものがある。オーストラリアでは盤石でも、海外で同じようにうまく行く保障はない。

今後の展開

オーストラリア国内の物件掲載数の伸びは落ちている。REA Groupは売上を伸ばすため、より高い掲載料を取る代わりに優先的にサイトに物件を表示する「Premiere」サービスの展開を図っている。しかしあまりに高い掲載料は期待できないので、オーストラリア国内の売上の伸びはこれまで10年間に達成した程は期待できないだろう。

アジアを中心に海外での成長を期待したいところだが、シェアNO1を実現していない市場もあり、オーストラリアで実現できた成長を実現できるかどうかは、現時点で不明ではある。

過去の株式バリュエーション

過去の株価と一株あたり利益、PER等をまとめた。

REA 株価推移

やはり成長を期待できる銘柄のため、PERは高い状態が続いている。しかし、10年前にこの株を購入したら株価10倍、テンバガーを達成できたことになる。

現在の配当利回りは1.5%程度。PER30倍を高いとみるか、今後さらに力強い成長をするため適正とするかは、投資家次第だろう。

分析を終えて

これまで配当株を中心に紹介していましたが、今回はバリバリの成長株を紹介しました。realestate.com.auはよくできたサイトで、物件を借りたり買う気が無くても、近所の家賃はどうなのか、物件価格はどうなのかということがわかるので、たまに見ています。

典型的なネットワーク効果による高収益企業で、今まで破竹の勢いで成長を遂げています。上記に記載した通り、物件掲載数は横ばいになりつつあるので、オーストラリア国内の成長率は低くなるだろうなと思います。今後海外でも同社の不動産広告ビジネスが高い成長を実現できるは、「買い」かもしれませんが、PER30倍を正当化できるほどの成長が続くかどうか、判断は難しいところです。特に不動産の購買パターンは国により異なります。例えば日本は不動産の購入は新築が一般的ですが、ここオーストラリアでは中古物件も良く出回っています。果たしてオーストラリア国外でもうまく運営できるのか、私は確信は持つことができません。現地に住んでいる人から聞き込みをするのも一つの判断材料かもしれませんね。

もし、何等かの一時的なトラブルで株価が過剰に反応した場合などは、購入を検討してみようと思います。

 

 

【銘柄分析】REA Group(REA)〔2016年6月期〕」への8件のフィードバック

  1. デイちゃん

    ありがとうございます。
    REAなんて、日本人は絶対知らんやろ・・って思いました。
    もし日本でもっとオーストラリア株投資熱が高まったら、管理人様は、証券会社のサイトで、日本人向けのオーストラリア株のコラムを書かれた方がよいのではないかと思います。
    でも、現地にいないと分からないようなことを教えてもらえるのは、とてもありがたいですね。
    たいていの日本人って、オーストラリアの企業っていったら、リオティントかBHPビリトンくらいしか知らないですものね。

    返信
    1. ディンゴ 投稿作成者

      デイちゃんさん

      コメントありがとうございます。オーストラリアに住めば、一度は見るサイトなんですが、そうでない限りまあ見ないと思います。
      おっしゃる通り、日本でオーストラリア株の投資熱が上がってほしいですね~。副業でコラム書いてみるのもいいですね~。でもこのブログのコピペでしょうけど(笑)
      BHPビリトン、リオティント以外にもいろんな銘柄があるんでぜひぜひ多くの方にオーストラリア株について知ってもらいたいところです。
      そうすればより多くの証券会社がオーストラリア株の取り扱いを始めてくれると思います。

      返信
  2. ライフ

    ディンゴ様はじめまして。ライフと申します。
    オーストラリアへの株式投資のブログは希少な存在なので見つけた時は嬉しくなりました。以降よろしくお願いします。
    一つお聞きしたいのですが、redbubbleという会社について何かご存知でしょうか?
    Tシャツやiphoneケースに登録アーティストの作品をプリントしてそれを販売する支援ビジネスをやっており、会社が発表しているプレゼンテーションを見ると、毎年40~50%近くの成長を見込めると強気の予測をしてますが、実際にオーストラリアでこの企業はどのようなイメージで捉えられているのでしょうか?
    分かることがあればお教えください。

    返信
    1. ディンゴ 投稿作成者

      ライフさん

      コメントありがとうございます。

      Redbubbleについては大変お恥ずかしながらライフさんにお教えいただき始めて知りました。
      ネット見ましたがASXに上場していますね!それに時価総額が200億円もありますね。
      オーストラリアの経済紙などで、周囲からどのように見られているのか、確認してみたいと思います。
      お教えいただきありがとうございます。

      返信
  3. デイちゃん

    やっぱり、知らない銘柄たくさんありますね。
    HPも英語なので、何をやってるのかよくわからない会社も・・・。

    さて、テルストラ、めちゃ下がってますね??
    何かあったんだろうか・・・。

    返信
    1. ディンゴ 投稿作成者

      デイちゃんさん

      テルストラは、最近通信障害が起こったりして評判が良くないですね。。
      これを受けて通信設備に大規模投資をするそうですが、果たして配当金を維持できるのか・・・という人もいるようです。
      個人的には大丈夫だと思いますけどね。株価5ドルを切れば買いだ!という記事もありました。
      とはいえ今後爆発的な成長は期待できないかなと思います。

      返信
      1. デイちゃん

        ありがとうございます!
        やっぱりこちらにいると、わからないですね・・・。
        株価が5ドルくらいだったので、もしかしてチャンス?と思ったのですが、まだ不透明のようですね。
        しばらく様子見します。

        返信
        1. ディンゴ 投稿作成者

          デイちゃんさん

          オーストラリア株は昨日えらい下がりました。。。
          アメリカの利上げを見越して全面安になったようです。
          こういう時こそ買いのチャンスかもしれないですが、私も様子みようと思います。

          返信

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