オーストラリア リチウム関連株

最近の新聞を見ていると、本格的なEV(電気自動車)の時代が始まりつつあると感じています。自動車各社はEVシフトを鮮明にしていますが、EVの根幹部品の一つがバッテリーで、向こう数年はリチウムイオンバッテリーが使われると見られています。

今後はリチウムイオンバッテリーに使われるリチウムの需要が上がるとみられます。ASXにはリチウム生産企業が多数上場されているので株価上昇につながるかもしれません。今回はASX上場のリチウム生産企業を紹介したいと思います。

リチウムの生産方法とコスト

以前Pilbara Mineralsを紹介した記事の最後の方にも書きましたが、リチウムは主に「鉱石系のリチウム」と「かん水系のリチウム」とがあります。

オーストラリアで採れるのは鉱石系リチウムで、かん水系リチウムは南米のチリ・ボリビア・アルゼンチンで採れます。世界のリチウム埋蔵量のうち、約70%が南米3国のかん水系リチウムと言われています。ちなみにリチウムは石油などと違い、枯渇の心配はありません。

鉱石系リチウムは地面を掘ってリチウムを含む岩石を採掘したのちに粉砕し、成分を取り出したものです。

かん水系リチウムは、いわゆる塩水から抽出したリチウムを精製して成分を取り出したものです。

かん水系リチウムのほうが「粉砕する」という工程が無い分、鉱石系リチウムより低コストでリチウムを生産できるとされています。ところがPilbara Mineralsの主張によると必ずしも鉱石系リチウムのほうが高コストというわけでもなさそうです。

Pilbara Mineralsのプレゼンテーション資料にかん水系”Brine”と鉱石系”minerals”のコスト比較表があります。(上記の表)リチウムの生産は、確かに濃い青のかん水系のリチウムのほうが安くなっています。ただし、リチウムイオンバッテリー用途の純度が高いリチウムを生産するには、かん水系リチウムでは不純物が多く、精製のために更なるコストが必要とのことです。一方、鉱石系リチウムは不純物が少ないので、リチウムイオンバッテリー用途に限れば、必ずしもかん水系リチウムの方がコスト安いというわけではないようです。

・・・しかし、「鉱石系リチウムもコスト競争力は負けない」と鉱石系リチウム生産企業であるPilbara Mineralsに言われても信じられないよ、という気持ちになりましたので何か状況証拠はないかなあと思い、いろいろ探していましたが一つ事例を見つけました。

チリでかん水系リチウムを生産している大手企業SQMが、110百万米ドルを投じてウエスタンオーストラリア州にある鉱石系リチウム鉱山Mount Hollandの権益50%を購入する、との2017年7月付のニュースがありました。

チリのアタカマ砂漠には塩湖があり、SQMはそこでかん水系リチウムの生産を行っています。もしかん水系リチウムの生産コストのほうが絶対に安いのならば、なぜわざわざオーストラリアの鉱石系リチウム鉱山の権益を購入するのでしょうか?「鉱石系リチウムもコスト競争力は負けない」というのが一つの答えだと私は思います。その他には、主な消費地である中国に近く、輸送コストが低いというのも一つの理由かもしれません。ただしMt Hollandは内陸にあるため、まず港に鉱石を運ぶだけでかなりのコストが掛かります。よって、輸送コストが決め手ではなさそうです。

ASX上場のリチウム関連企業

ここからはASX上場の主なリチウム関連企業を簡単に紹介したいと思います。この中からテンバガーが生まれるかもしれませんね!?株価と時価総額は2017年11月17日時点です。

企業名 株価 時価総額  事業内容
Pilbara Minerals (PLS)  0.925  15.1億豪ドル(約1,284億円)  西オーストラリア州北東部にてPilgangooraプロジェクト(権益100%保有)を建設中。生産開始は2018年2Qを予定。当プロジェクトの拡張も検討中。

Neometals (NMT)

 0.455 2.4億豪ドル(約204億円)  西オーストラリア州中部のMt Marionプロジェクト(権益13.8%)にてリチウムを生産中。その他リチウムの精製に関する技術に投資している。
Altura Mining (AJM)  0.385 6.7億豪ドル(約570億円) Pilbara Mineralsが開発中のプロジェクトの近くで、同じプロジェクト名の”Pilgangoora”プロジェクトを開発中。生産開始は2018年1Qを予定。拡張も検討中。
Lithium Australia (LIT)  0.22 7200万豪ドル(約(約61億ドル)  西オーストラリア州やメキシコでのリチウム鉱床の探鉱や、リチウムの精製をより効率的に行うことができる技術の開発を行っている。
Orocobre (ORE)  5.80 12.2億豪ドル(約1,037億円)

 アルゼンチン北部のかん水系リチウムの生産を行っている。ASXとトロント証券取引所の2か所に上場している。

Galaxy Resources (GXY)  3.73 15億豪ドル(約1,275億円)

 オーストラリア(鉱石系Mt Cattlin)、アルゼンチン (かん水系Sal de Vida)、カナダ(鉱石系James Bay)でリチウムの生産・開発・探鉱を行っている。

Kidman Resources (KDR)  1.29  4.5億豪ドル(約396億円)

 オーストラリアでリチウムだけでなく貴金属の探鉱を行っている。Mt Hollandリチウム鉱山の権益を50%保有(残りはチリの大手SQM)しており、開発に向け検討を進めている。

認識すべきリスク

上記のリチウム鉱山企業は将来のテンバガー銘柄かもしれません。ただし、これらの企業は典型的な「コモディティビジネス」を行っています。

コモディティビジネスでは、「需要がある」と見越して多くの生産業者が一気に参入すると、とたんに供給過剰になり、価格が下落して最終的には損益分岐点以下でしか商品が売れなくなってしまいます。それでも操業費を賄えるのなら、「操業停止で固定費が完全に無駄になるよりもマシ」ということで、損益分岐点以下の価格でも生産が続きます・・そして泥沼に陥り、倒産する企業が出てきて、供給が絞られると・・・・今後は価格が急に上がっていく。。。

コモディティビジネスはこの繰り返しです。わかっていてもこのサイクルから逃れることができません。

「今後はEVの時代だ!」ということでASX上場企業のみならず、世界中の企業がリチウムの生産に向け事業を展開しています。

いかにEVでリチウムの需要が伸びようと、それ以上に供給が伸びると価格は下落します。そして上記のサイクルに陥り、リチウム生産企業の業績、そして株価も下がることになります。

とはいえ、リチウム市場というのは石油と違って透明性が無く、結局需給がどうなっているのかサッパリわかりません。まだ透明性がある石油であっても、専門家ですら価格予想ができませんし、リチウム価格なら尚更誰にも分りません。ただし、いつか価格が下がる日が来ると思います。石油と違って埋蔵量がほぼ無限大なのは認識すべき点です。

というわけで、私はPibara Mineralsを長く保有するつもりはありません。おそらく今年か、来年中には売却することになると思います。ただ、今はまだEVブームに乗っていますので、今後しばらくは上昇するかも・・・と考えています。

オーストラリア リチウム関連株」への2件のフィードバック

  1. マックス

    貴重な情報をいつも大変分かりやすく掲載いただきありがとうございます! リチウムの埋蔵量が無限に近いとは全く思ってませんでした。私も少しだけリチウム株を持ってるので大変参考になります。これからもよろしくお願いいたします。

    返信
    1. ディンゴ 投稿作成者

      マックスさん

      有難うございます。
      コストさえかけたら海水からいくらでもリチウムは取れますからね・・・。
      ただし低コストで取れるのは南米アルゼンチン・チリ・ボリビアの塩湖と世界各地の鉱山とされています。

      返信

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