豪ガスパイプライン企業の収益が悪化?

オーストラリアのガスパイプライン運営企業は将来の配当金生活における主力投資先と考えています。パイプラインや送電線の運営会社は、パイプラインを使ってガスを購入したい個人や企業、送電線を使って電気を使いたい個人や企業に対し独占的な交渉力を持っています。自社以外にガス輸送サービスや電気輸送サービスを提供している競合他社が無いからです。当然、不当に使用料を釣り上げないように、政府によりパイプライン輸送料が設定されています。

ということで、オーストラリアで幹線パイプラインを保有・運営しているAPA Groupや、メルボルンのパイプライン網を保有・運営するAusnet Serviceなどは政府決められた収益を安定的に稼ぐことができ、投資家に安定した配当金を支払うことができます。これらの会社は安定高配当株として知られており、このブログでも過去に紹介しています。私は過去にDuet Groupを保有していましたが、香港の長江実業に買収されました。(おかげで少し儲けました

パイプライン使用料の仕組み

オーストラリア政府の機関であるAustralian Energy Market Commission (AEMC)がパイプライン利用料を設定しています。パイプライン利用者はAEMCが決めたパイプライン利用料をパイプライン運営企業に支払うことになります。

パイプラインによっては、政府が利用料を決めずに、パイプライン運営会社と利用者が交渉のうえ決定する場合もあります。もし利用料に不満がある場合は他の政府機関に訴え出ることができます。

2018年2月27日AEMCによる発表

AEMCからガスパイプラインの規制のあり方を変更するとの発表がありました。詳細な内容はまだこれからなのですが、下記のように「パイプライン利用者がより安い利用料でガスを輸送できるようになる」と記載があります。

“The changes we have recommended would help pipeline users negotiate lower prices and better deals for shipping gas. Gas users like manufacturing businesses that rely on gas, gas-fired electricity generators, and retailers who supply small businesses and households would be better off as a result.”

と、いうことは裏を返せばガスパイプライン運営者の利益が減るとも言えます。

AEMCによるパイプライン利用料値下げ発表の背景

下記はオーストラリアのガスパイプラインの地図です。

ご覧の通り、オーストラリア全土をカバーするパイプライン網はなく、西部(ウエスタンオーストラリア州)・中央(北部準州)・東部(クイーンズランド州・ニューサウスウェールズ州・ヴィクトリア州・サウスオーストラリア州・タスマニア州)でバラバラに分かれています

オーストラリアの人口の大半は東部のパイプライン網がカバーするエリア(つまりシドニー・ブリスベン・メルボルン・アデレード・ホバート)に住んでいます。

この東部において、最近ガスが不足しておりガス価格が上がっていることが問題になっています。理由としては、メルボルン近郊のガス田が枯渇しつつあること、そしてクイーンズランド州のLNGプロジェクトから大量のガスが国外に輸出されるので、需給が逼迫しているから、と新聞には書いてありました。(※ちなみに私の家(マンションですが)はオール電化ですが。でもガス火力発電由来の電気もありそうなのでガス価格が上がると電気代も上がりそうです。正直今でも高いです。。)

当然オーストラリア国民としてはガス代下げろ、ということなので政府としても対応する必要があります。

日本と違いオーストラリアにはガスがたくさんあるみたいなのでどんどん開発すればいいと思うのですが、特に埋蔵量が豊富といわれるシェールガスの開発は政府から「水質が汚染されるから禁止」されているようです。それじゃあ価格が上がるしかないんじゃないの・・・と思うのですが。。

お茶を濁す、というわけではないのですが「パイプライン利用料が高いからガス代が高い」という屁理屈でパイプライン利用料を下げにかかってきているのではないか、と新聞記事にはありました。おそらくこれが今回のAEMCの発表の背景ではないかなと思います。当然ながらガス価格高騰の理由は需要に対し供給が少なすぎるから、という論調が多いですね。

APA Group, Ausnet Serviceの株価

オーストラリアのパイプライン会社であるAPA Groupと Ausnet Serviceの株価を確認してみます。

APA Group株価推移

Ausnet Service 株価推移

若干下がり基調だと思います。パイプライン利用料についてはかなり前から新聞記事に「政府は利用料下げにむけて動くのではないか」との論調がありましたので、株価に徐々に反映されているのではないのかな・・・と思います。

 

今後の見通し(私見)

将来の配当金生活の主力銘柄には、APA Group やAusnet Service 、そしてパイプラインではないですが送配電網を所有するSpark Infrastructure といったインフラ会社を考えています。政府による料金規制はあるものの、独占的な資産を保有する会社なので、収益そして配当が安定的だからです。

ただし、政府が利用料を下げるとなると話は違ってきます。国民からしたらパイプライン利用料値下げは歓迎すべきことですが、投資家としては配当原資が減るのでたまったものではありません。

とはいえ、あまりにも理不尽な値下げを断行すると、投資家から資金が集まらなくなり、今後必要なパイプライン建設が進まなくなる恐れもあります。オーストラリア政府は資本主義のメカニズムは理解している(と私は信じている)はずなので、あまりに滅茶苦茶な値下げはしないと思います。

とはいえ、今後のAEMCの詳細レポートには注目したいと思います。あまりにパイプライン利用料が低く設定されるならAPA Group、Ausnet Service 、Spark Infrastructureへの投資は控える、少なくとも比重を減らさざるを得ないかなと思います。

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