【読書記録】Investing in REITS:Real Estate Investment Trusts (Bloomberg)

今回は読書記録となります。オーストラリアのReitに投資しているため、せっかくだから本格的なReitに関する本を読もうと思い、このたびキンドルで買って読みました。キンドルというのは本当にどこでも読書できるのでいいですね。

“Investing in REITS:Real Estate Investment Trusts (Bloomberg)”はアメリカのリート投資に関して記載された書籍となります。オーストラリアリート投資に関する書籍を探したのですが、アマゾンではどこにもなかったので、アマゾンでの評価の高い、この本を読んでみました。発売が2011年と少し古いのですが、参考になると思います。

最近読んだ本の内容をすぐ忘れてしまうので、せっかくブログをやっているのもあるので記録がてら本書の要約を記載します。ここに記載されているReitとは米国Reitのことですが、オーストラリアReitも同様にNet Incomeの全額(アメリカでは90%ですが)を配当で払うことで課税されないという特徴がありますし、多くの面で共通点があるものと思います。

Reit投資全般について

  • リートの累計の投資リターンは高い。これはNet Incomeの90%以上を配当として支払うことで課税されないというルールがあるため、利益のほとんどを配当として投資家に支払うからである。(「成長のため」という名目で利益の生まない投資をする会社よりも、潔く利益を投資家に返す会社のほうが投資リターンはよいということか)
  • 債券と異なりReitは売る時の値段がわからないが、物価上昇に伴う不動産価値の上昇により数年たてば買った時より株価が上がっていいることが多いと思われる。
  • 不動産の直接保有との比較:不動産の直接保有は手入れやテナント探し、さらに売買に不動産の非常に時間がかかる。流動性がないこといが問題。さらに1件に集中するので分散できない。その分Reitは上場商品なのでいつでも売買できる。
  • Reit自体は1960年代から設定されていたが、しばらくReitは投資家の間では人気がなかった。株式投資家からは「不動産への投資」は忌諱され、不動産投資家は「株のように価格が上下する不動産商品」への投資には見向きもしなかった。しかし、1990年代からReitの流動性・収益性が投資家の間で評価され、今日では機関投資家はじめ多くの投資家により保有されている。
  • そもそもReitは高成長ではない。年間のリターンはだいたい4~10%の間であり、20%以上の高成長を約束するReitはリスクが高い。例えば1990年代中旬のホテルReitは高成長であったが、拡大して負債が大きくなり後年大失速した。
  • いま(2011年時点)ではReitのような不動産投資商品は世界の35か国にある。世界の全Reitの時価総額の各国の割合は米国53%、オーストラリア11%、フランス9.6%、イギリス5.4%、日本5.4%、カナダ4.3%となっている。オーストラリアでは、Institutional Gradeの商業用不動産のうち40%をReitが保有している。(人口2400万人のオーストラリアが世界Reit時価総額の11%も占めるというのは大変驚きました・・・・)
  • 金利の上昇とReitの利率は逆の相関ではあるが、相関係数が-1というわけではない。金利上昇=景気が上がる⇒住宅やオフィス需要が上昇⇒Reitの利回りが上昇 ということもある。金利上昇はReitの価格が下がる要因とはなるが、かならずしも悪いことばかりとは限らない。

Reitの定量評価

  • FFOもしくはAFFOの範囲内で配当金(分配金)が支払われているのであれば、将来も安定的に配当金が投資家に支払われる。FFO/AFFO以上の配当が続くと、将来的な減配の可能性もある。アメリカではFFOは財務諸表に記載されているが、AFFOはReitにより定義が異なるか、記載されていないこともある。(FFO=当期純利益+減価償却費+不動産売却損-不動産売却益)(AFFO(Adjusted Funds from Operation)=AFFO-経常支出-借入金元本返済額)
  • Reitの割高・割安はそのReitのPrice/Net Asset Value(資産ー負債)倍率もしくはPrice/FFO, Price/AFFOの倍率で確認可能。ただし、これは他のリートに比べて割安か割高かを相対的に確認するものである。もしくは将来のAFFOの現在価値を計算する方法もあるが、割引率とAFFO成長率をどのように想定するかで数値が異なることが問題。(個人的にはPrice/Net Asset Value倍率が分かりやすいと思います)

Reitの定性評価

  • Reitの負債/資産比率:40%以下なら問題ない。また負債/EBITDA比率も5~7倍程度であれば問題ない。ただい8倍を超えると少々リスクがある。
  • 資本市場へのアクセス能力:例えば不動産市況が下がって「絶好の買い場」が訪れた時に、増資や借入金を賄える能力があるか、過去の実績があるかどうか。過去リーマンショックの時も健全なReitは増資により資金調達し、不動産を割安で購入できた。
  • 過去Reitのマネジメントは、資本を有効に活用したか。収益の上がる不動産にきちんと投資したかどうか、そのトラックレコードがあるか
  • 保守的な配当方針か。利益を100%以上配当するというような長期的に無理のある配当政策をとっていないか。
  • コーポレードガバナンスはきちんと機能しているか。Reitのマネジメントが、個人が保有する不動産をReitに割高で買わせたりしていないか。
  • Reitのマネジメントや運営会社が5%以上の株を当該Reitに出資しているか。出資比率が高ければ高いほど、Reitのマネジメントと投資家の利害が一致する。
  • Reitの保有物件は地域的もしくは不動産セクターが集中しているか。地理的に集中して物件を保有すると、その地域の情報をより集まることになり競合と差別化できる。また不動産セクターについては、Retail, Office, Industryと種別に応じて注意すべき事柄がことなるため、例えばOfficeのみに集中するなどしたほうがマネジメントの質がよくなる。
  • ただし、ヘルスケアReit(老人ホーム)やStorage Reit (倉庫リート)であれば地理的に集中する必要がない。
  • Green Street Advisorsという会社は、NAV倍率だけでなくReitのマネジメントの質、バランスシート、コーポレートガバナンスなど定性的な評価も含めてリートの評価を行っている。

各Reitの特徴

セクター 特徴
Apartment 過去(1986~2011)の投資収益ではRetailに続き収益率が高い。(年7.8%)当該物件が所在する失業率が高まると配当が減る可能性がある。
Retail(ショッピングモール)

過去(1986~2011)の投資収益では最も収益率が高く年率8.3%。不況になるとショッピングモールの売上減少・テナントの倒産などで配当が減る可能性がある。最近はネットショッピングなどの拡大で、ショッピングモールでの買い物という購買パターンが変わりつつあることも注視する必要あり。ただし、不況でも立地のよいReitはてテナントを維持し続けた実績がある。

Office 過去の投資収益は5.3%/年。景気により賃料が変動するのはApartment, Retailと同じだが、オフィスの賃貸は複数年契約というのもあり景気変動の波はApartment, Retailほどは激しくない。
Industrial 倉庫ということで、物件維持のための費用が低い。物件がすぐ建設できるため、供給過多による賃料減の可能性は低い。※Officeなどは建設開始から完了までにタイムラグがあり、建ったころには景気が悪化し「供給過多」となり賃料が下がるリスクがある。
Hotel 景気に最も反応する。好景気なら収益性が高いが、不況になると一気に収益が下がる。ホテルはすぐに供給過多になる。※今後はAir BnBなどの拡大でHotel業界のビジネス環境が悪化しないかどうか注視する必要あり。
Self Storage 個人や企業が用いるいわゆる「トランクルーム」のReit。不況に強い。オフィススペースを減らすと、荷物をどこかに保管する必要があるが、トランクルームはそのような需要にこたえることができる。ただし参入障壁は高くない。
ヘルスケア 老人ホームなどの物件を保有するReit。政府や自治体による社会保障給付の状況で老人ホームなどの経営状況が変わるので注意する必要あり。自治体による社会保障給付は上限があるため、ヘルスケアReitは地域に集中するのではなく全国に物件を分散してもっておいたほうがよい。
データセンター・研究所など いわゆるニッチな用途に用いる不動産を保有するReit。テナントの層が限られるため、賃料交渉でテナントに値切られる可能性もある。

おすすめのReit投資方法

  • リートは6銘柄、できれば8~10銘柄で分散して投資するのがよい。例えば、Residentialを2銘柄、Retailを2銘柄、Officeを2銘柄、あとはIndustry, Health Care, Hotel, Self Storageを1銘柄ずつというのがこの本の筆者のおすすめ。
  • 過度な成長を志向するReitではなく、バランスシートが強く、保守的な運用を行ういわゆる「優良Reit」へのBuy and Holdが望ましい。

Reit投資の利点まとめ

  • 法人税を回避するという税制上の利点
  • 不況時に増資などで資金調達し、「割安な不動産を取得するチャンス」を活かすことができる。実際にリーマンショックでは適切に経営されたReitは増資で得た資金で、安くなった不動産を取得できている。
  • 不動産投資という安定的なリターンを得られるし、株式投資のような取引の流動性がある。

 

まとめという割にはまとまりきっていませんが、個人的にはかなりの良書だったように思います。

まだOfficeとIndustrialの物件を保有するReitしか保有していません。もう少し分散してもよいのかもしれませんね。今保有しているCMAやGDFはいわゆる最近上場した新顔Reitであり、昔から安定した実績のあるReitへの投資を検討しようかな、と考えています。今は追加の現金がないので、まずは物色を始めたいと思います。

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