ASXがブロックチェーン技術を導入

少し前の話なのですが、オーストラリア証券取引所、すなわちASXがブロックチェーン技術を用いた証券取引システムを導入することを決定したそうです。ブロックチェーンといえばビットコインなのですが、仮想通貨以外の用途に本格的に適用させるのは初なのではないかなと思います。特に、世界のメジャーな証券取引所であるASXでブロックチェーン技術が導入されるというのは画期的なことだと思います。オーストラリアはのんびりした国で、あまり画期的なものが生み出される国ではないと思うのですが(笑)

現在のASXのシステム

現在ASXが使用しているシステムはClearing House Electronic Subregister System (CHESS)というものです。確か証券会社に口座を開設し、株を取引きしたら後、私のところにもASXから「あなたのCHESS番号はこれです」といった手紙が届いたように記憶しています。※もちろんその手紙は今も家で保管しています。

そして、株取引をするたびに、CHESSシステムから手紙が届きます。なぜかメールではなく手紙で届くんですよね・・。その手紙には「あなたが持つXX会社の株はXXXです」といった情報が書いてあります。

ASXのホームページにCHESSシステムの説明が掲載されています。2017年末時点で1.8兆ドルもの金額の株がCHESSを通じて保有されているみたいですね。

CHESSというシステムは25年前から導入されているものですが、より効率の良い証券取引システムを導入する旨を2015年に発表し、今回の「ブロックチェーン技術を導入する」という発表に至りました。新システムには2020年~2021年に移行する予定のようです。まさに今、証券会社や株式事務会社など向けの説明会などが実施されているようです。

新しいシステム

ASXの証券取引の新システムは、Digital Asset社が開発したブロックチェーンを基盤にしたシステムを使うとのいうことです。

Digital Asset社は元JPモルガンの人が2014年に創業したIT企業で、ASXのほかJPモルガン、ゴールドマンサックス、シティグループなどが投資しています。2014年の創業時には100億円以上の資金を集めたみたいですね。

その新しいシステムというのがDistributed Ledger Technology (DLT)という名称で、その名の通り株取引を記録した元帳を関係者に配布(共有?)するという仕組みみたいですね。

といってもサッパリ意味が分からないのでどこかに上手く説明している人がいないのかなとネットで探したら、株式代行事務会社大手のComputershareこのページで説明していました。

左側の図が今までの仕組みで、中央で株取引を記録する元帳(えんじ色)が管理されます。一方で右側が今後の仕組みで、株取引を記録する元帳(黄色)が投資家・会社など証券取引の各参加者に共有されています。

株式取引の流れ

我々投資家が株式投資をするときは、証券会社にこの銘柄を●●株購入します、というのを発注して、売ってくれる他の投資家があれば取引が執行され、株を購入することができます。

ただし、その裏には何層にもわたるプロセスがあります。

これがそのプロセスの概念図なのですが、

①投資家が証券会社に発注

②投資家に代わって証券会社同士が発注をマッチングさせる(Clearing)

③中央(証券取引所)で取引を記録

④金融機関などが決済が完了するまで株を一時的に保有する(Custodian)

⑤決済完了し、株が投資家に渡される(ASXなら決済完了まで4日程度)

⑥株が投資家が保有しているという情報が登録される(Register)

⑦登録された情報に基づき、各投資家の株主総会での投票などのコーポレートアクションなどが行使される(Register→Issuer)

証券会社の人間ではないので上記で正しいのか分かりませんが、ネットなどで薄く勉強する限りではこういうことかなと思います。

さらに別の側面から見たら下記の図のようになります。

これをさらに単純化図式が下記の通りです。①株取引 ②Clearing(取引を確定)③Settlement(お金をやり取りする)④取引した事実を登録(Registry)

 

このように株取引の舞台裏には様々なプロセスがあるのですが、これをブロックチェーン技術を用いることで、Clearing, Custodian, Settlementといったプロセスが不要になる可能性があるとのことです。

ブロックチェーン技術でできること

ブロックチェーン技術により、株取引を記録する元帳を参加者全員に共有することで「その取引が正しいのか」を確認するClearingや、決済も同時に行うので「Custodian」といった機能が不要になるとのことです。

具体的には下記の通り、「取引」と「取引記録の登録」この2つのプロセスに圧縮することができるようです。このことで、ASXの取引をより効率化し、コストを下げることができるとのことです。

 

Digital Assetの社長が説明した動画を見たのですが、元帳のあらゆる情報を参加者全員に共有するのではなく、必要な情報のみ必要な人だけに共有することで、システム全体の情報の正確性を確認する作業(マイニング)のコストを下げる工夫をすると説明していました。

 

というわけで、一応私の知る限りでまとめてみました。私が参照した資料は株式事務会社であるComputershareの資料なので、「Registry(株式事務)」はブロックチェーン技術が導入されたあとも株式取引で必要となる、という文脈で説明されていました。あくまでブロックチェーン技術により不要となるのは証券会社などの金融機関が担っているClearingやCustodianといったプロセスだ・・・という言い方ですが、個人的には株式事務業務もすべてASXがブロックチェーン技術により全部投資家に提供できてしまうのでは・・・・とも思いました。

とはいえ、株式発行企業が情報のノードとして存在する必要があるので、そのノードとして必要な作業をComputershareといった会社が代行するのかなぁとも思いましたが。

新しい技術なので、その技術で何ができるかを正確に予期するのは難しいですね。未来から過去を見れば「こんなこともわからないのか」という話になるのですが。

個人的には、ASXがブロックチェーン技術を導入することで、日本のネット証券がASXに参入しやすくなればなと思います。ASXも高配当の企業が多く上場されているので、日本の投資家が気軽に投資できるようになればいいのですが…。でもブロックチェーン技術のせいで証券会社にとっては余計に参入が難しくなるのかもしれませんが、

今後はASX以外の証券取引所でもブロックチェーン技術を導入する流れが広がるのかなと思います。また証券取引以外にも保険や銀行業務にもブロックチェーン技術が広がるんでしょうね。消費者としてはそれにより金融の取引コストが下がって欲しいと思いますね。

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