【銘柄分析】Auckland International Airport (AIA)〔2015年6月期〕

今回はASX上場のニュージーランドの企業を紹介しようと思います。Auckland International Airport (AIA)という文字通りニュージーランド最大の都市であるオークランドにある国際空港です。もちろんAIAはNZでも上場しています。

日本では国際空港自体が上場していませんが、ニュージーランドとオーストラリアではそれぞれオークランド空港、シドニー空港がASXに上場しています。

会社概要

1966年にオークランド空港が開港。その後1998年に空港運営会社がASXおよびNZXに上場。

滑走路は2本あり、1時間で45便もの飛行機が離着陸できるとのこと。A380も着陸できる。しかし、2本の滑走路が隣接していることから、同時運用はできない。AIAは離れたところにもう1本滑走路を建設しようとしているが、建設プロジェクトは頓挫したままである。利用者数は中国人を筆頭に順調に伸びている。

会計年度は7月~6月。2015年6月期の売上高はおよそ5億NZドル(367億円:NZD/JPY=73.4)、純利益は2.2億NZドル(161億円)。

株価はグーグルファイナンスで確認できる・・・といいたいところだがグーグルファイナンスだと何故かAIAのチャートが表示されない。というわけでASXの株価ページを確認することをお勧めする。IR情報は同社ホームページから確認することができる。株価もこのホームページから確認できる。

財務諸表分析

Annual Reportより筆者が過去のデータをまとめた。

2015AIA 売上推移

  • 売上および利益は順調に伸びている。特にリーマンショック後は利益が伸びている2007年は不動産評価益が加算されている。
  • 投下資本利益率はここ5年は5%程度。

売上の詳細を以下にまとめた。
2015AIA 売上詳細

乗降客数の増加以上の売上の伸びがある。特に空港周辺の不動産収入の伸びが大きい。リーマンショック時の景気低迷以外は順調に乗降客数は伸びている。

2015年6月30日のバランスシートは以下の通り。

2015AIA バランスシート

安定的な収入が入る空港ビジネスにしては、有利子負債比率は34%と低い。財務的には問題ないだろう。

キャッシュフローの推移は以下の通り。

2015AIA キャッシュフロー

基本的にフリーキャッシュフローが黒字である。キャッシュ回りも問題ない。

ビジネスモデル分析(高収益の要因)

典型的なインフラ企業のビジネスモデルである。空港利用者数が増えれば増えるほど収益も上がる。

【競合企業の新規参入】

オークランド近郊にもう一つ国際空港を建設するのは現実的ではない。新規参入は無いと考えていいだろう。首都ウェリントンの空港が大規模拡張されてA380も着陸できる空港になるかもしれないが、近い将来にはそのような計画はない。

【無形資産】

政府による空港運営の認可。

【スイッチングコスト】

AIA以外のNZ国内の主な国際空港はクライストチャーチ空港(南島)くらいである。NZの人口の大半を占める北島の国際空港はAIAくらいで、航空会社としても他に選びようが無い。

【ネットワーク効果】

なし

【コスト優位性】

特にないと考えられる。

【まとめ】

NZ最大の国際空港を運営しているので、安定的な収入を期待できる。空港隣接のオフィス・物流施設・駐車場などの運営でも収益を上げることができる。これらの物件は空港という好立地に位置しているのでテナントが集まりやすいと思われる。

最近の状況

2016年6月期の上半期実績(2015年7月~2015年12月)によると、中国や南北アメリカを中心にさらに乗降客数が伸びている。離発着は減っているが、大型の飛行機が増加したことで客数が伸びたとのこと。A380など大型飛行機をより多く受け入れるためにターミナルの改装工事も行っている。

リスク

観光客の減少が最大のリスク。考えられる要因は、世界的な景気低迷・伝染病の流行・NZでの大規模災害(特に北島での地震)などである。これらが発生すると一気に乗降客数が減り、収益にダメージを与えるだろう。

今後の展開

現在の年間乗降客数は1500万人程度だが、30年後には4000万人に増やすとしている。まずは2025年までに北側、下記地図の②の箇所に新たに滑走路を建設する予定である。土地はすでに保有している。

2015 AIA map

今後のNZの観光業はまだまだ発展の余地があるとのこと。

2015AIA 観光客数

上記の指標だけを見ると、国民あたりの観光客数がまだまだ少ない。あくまでも上記指標だけが観光客数の多寡を図るものではないが、アジア諸国の経済発展に伴う旅行需要の増加により将来は確実にNZを訪れる人は増えるだろう。

過去の株式バリュエーション

過去の株価と一株あたり利益、PER等をまとめた。PERや配当利回りは豪ドルに換算したうえで計算している。

2015AIA 株価

一株利益は順調に上がっており、配当金も順調に上がっている。2014年は自社株買いを実施したため、配当金の総額は少なくなっている。

2015AIA Share price

リーマンショック直後の2009年と比較して株価は5倍近くに上昇。特に現在は6豪ドル付近である。現在の配当利回りは2%強程度である。

分析を終えて

空港運営ビジネスはパイプラインや送配電線と同じく、自然独占的な傾向のあるビジネスです。特にオークランド空港は他に競合らしい空港もなく、NZに来る観光客の90%以上が同空港を経由するとのことです。NZといえはオークランド空港、ということでうまくニッチマーケットを独占していると言えます。

NZに来る観光客はこれからほぼ間違いなく右肩上がりでしょうし、オークランド空港の未来は明るいといえるでしょう。安定したインフラ会社にしては売上利益ともに右肩上がりで伸びており、買いたくなる株ですが、いかんせん今の株価は高すぎるかなと思います。将来の成長を加味すると買いなのかもしれませんが・・・。

個人的には、世界景気の悪化時、伝染病の発生時に同社株は大幅下落すると思うので、その時に仕込みたいと思っています。

【銘柄分析】Auckland International Airport (AIA)〔2015年6月期〕」への9件のフィードバック

  1. デイちゃん

    情報、ありがとうございました。
    オークランド空港、上場してるな・・・って前からぼんやり考えてましたが、よく考えるとオークランドってNZですね。
    NZドル建ての債券はたくさん持ってるんですけど、NZの国自体の情報って、あんまり入ってこない・・・ですよね。
    NZ株も、日本の証券会社はどこも取り扱いないし。なんかさびしい。

    そうそう、ウールワースが赤字?になってて。どうしたんでしょう。
    もし何か情報お持ちでしたら、教えてくださいますか。
    私はてっきり、オーストラリアの個人消費は強いから、ウールワースは大丈夫・・と安易に考えていたんですが。どうも違ったようです。

    返信
    1. ディンゴ 投稿作成者

      デイちゃんさん

      日本からNZ株買えないんですね。日本の証券会社にも取り扱ってほしいところですね。逆になんでベトナム株とかは取り扱ってるんでしょうね・・・。

      ウールワースは、傘下のマスターズという大型生活用品店を売却することにともなう減損処理を行っていますね。マスターズの直接の競合はコールズのバニングスというものですが、私が知る限りバニングスのほうが品揃えもいいし店もあちこちにあるしで、マスターズは苦戦していました。減損なので現金が出ていくわけではないので配当金支払への影響はないと思います。

      返信
      1. デイちゃん

        そうなんですか!
        教えてくださって、ありがとうございます。(#^^#)
        英語力の問題もあるけど、現地の人じゃないと、やっぱりわからないもんですね・・・。
        「最近、ぽこぽこ店舗ができてるな」「結構お客さん入ってるな」とか、数字からは分かりませんからね。

        私はNZドル建ての債券を持ってて、利回りが下がってきたので、高配当のNZ株買えたらな・・・と思って探したんですが・・・どこも買えず。
        変わった国の株は買えるのに。
        NZって一応先進国なので、先進国の株式を取り扱ってほしいですね。
        オーストラリア株も、あまり積極的にはすすめませんし。

        返信
  2. まゆか

    お久しぶりです。お元気でしたでしょうか。
    また株に時間を充てられる時間が出来てきました。トランプ以来、まさかの株価上昇で世界中が沸いていますね。
    現時点では日本が圧倒的に上げていますが、オーストラリアと特にNZはあまり恩恵に預かっていないような気もしています。

    こちらのAIAですが、ようやく上昇トレンドに乗ってきた感じですね。
    ずっと右肩上がりをしてきたのですが、一度落ちだしたらどんどん落ちて・・・
    一時は7を超えたのに、ついには6を割り込む始末でした。

    これまでの流れをみると、かなりBOT入ってる感じでした。これってAIAが優良企業の証拠なのかなと。
    基本上がる会社だから、意図的に下げて、売りに出したら買うの繰り返し。
    ちなみに、SHVというアーモンドの会社も似た傾向で、会社の内容は優良なのをいいことにBOTで上げ下げ状態。
    VRTという会社も露骨なBOT攻撃を受けてる感じです。

    その日に決算をださざるを得ないデイトレーダーはこの手法は仕方ないのでしょうが、
    資金に限りある個人トレーダーには冷や冷やです・・・

    返信
    1. ディンゴ 投稿作成者

      まゆかさん

      コメントありがとうございます。
      まさにトランプ氏当選してもオーストラリア株にはほぼ影響ない感じですね・・・。
      株価は上下するのですが、個人投資家としては決算を出すタイミングを自分で設定できるので
      のんびり構えたらいいのかな~と思います。私は短期筋の動きはなるべく無視するようにしています。
      NZへの旅行客は増えるでしょうし、この会社も長期的に収益が上がると思います。
      SHVとかVRTという会社は知りませんでした。また、研究したいと思います!ご紹介有難うございます。

      返信
  3. まぬか

    >ディンゴさん

    ディンゴさんのようにどんと構える手法もまた参考になります。
    私は今、1週間~1ヵ月くらいのスイングでやっています。勉強を兼ねているのと、資金が少ないので。
    長期投資はもっと資金がたまったらと思っています。
    それでも、長期の考え方はいつも参考にしています。
    基本は、財務のよい会社に投資しています。たま~に、新しい会社に投資してますが、これはもう博打的ですからね。
    最近だとRAPやCLQ、MZNあたりがぐーーーんと上がったと思ったらきゅーーんと落ちてます。面白い会社ですが。
    財務がよくていつも目につけているのは、IGO、CAR,FXLあたりですかね。長期的にはやっぱりじわじわあげるんですよね~
    日々勉強です・・・

    返信
    1. ディンゴ 投稿作成者

      まぬかさん

      おっしゃる通り、新しい会社への投資はばくちです。私も日本にいたころIPO直後の夢のある会社にいくつか投資しましたが
      ことごとくうまくいきませんでした。
      一方、ピーターリンチの本を読むと、従来からある一見つまらないビジネスを展開している企業であっても、うまく投資すれば
      何十倍にもなるということがわかりましたので、基本的に上場して数年たっている企業に投資するようにしています。

      しかし、やはり夢に掛けたい気持ちもあるのでたまーに博打銘柄にも手を出しますが、あまり多額にならないようにしています。

      いろいろ銘柄をお教えいただき有難うございます。MZNはリチウム関連で夢のある銘柄ですが、小さい鉱業銘柄は当たりはずれが大きいので
      難しいですよね。おっしゃる通り、財務が良くて「まあつぶれないだろう」という株を買ってのんびり構えるのが、実は儲けの近道かもしれませんね。
      言うは易く行うは難しですが。

      返信
  4. まぬか

    AIAがいいですね。今朝はNZの株価もいいし、ついに上昇トレンドかと思わせます。
    それにしてもBOTがすごいです。1~5株くらいの操作で落として不安を煽り株を手放させ、逆に上げて利確させて手放させの繰り返し。最初の頃は本当にこれにやられてました。もちろん、今でも気を付けていますが。
    株価の上下が全てではないんですよね。となると・・・結局は企業力と思っています。
    まあ、企業力があるからBOTも成立すると思います。そういうわけで、BOT攻撃があると、逆にちょっと安心します(笑)

    MZNも昨日、一時30%という驚異の上げをしたと思ったら、10%に落ち、今朝はまた5%上げています。バクチですよね。30%上げるということは30%下げる可能性もあると思ってしまいます。ま、宝くじでも買った感覚でなら、ありかもですが。

    >新しい会社への投資はばくちです。私も日本にいたころIPO直後の夢のある会社にいくつか投資しましたが
    ことごとくうまくいきませんでした。

    そうですか。業績の裏付けのない会社だと、株が下落していくとつぶれるんじゃないか?って不安ありますよね。
    だから、もう全額なくなってもいい額ならありだと思いますが。今はちょっとそういう投資はできないです。

    >やはり夢に掛けたい気持ちもあるのでたまーに博打銘柄にも手を出しますが、あまり多額にならないようにしています。

    そうなんですよね!僕もつい、1000ドルくらいならいいかな~って思うことありますが自制してます(涙)

    >財務が良くて「まあつぶれないだろう」という株を買ってのんびり構えるのが、実は儲けの近道かもしれませんね。

    調べてみると、結局利益を出しているのは財務の良い会社なんです。時間はかかりますが、最終的に利益だしてくれています。株には絶対方程式はないので、この手法も通用しなくなる時は来るのでしょうが、その日までは基本、財務のよい会社に長期投資をしていくつもりです。

    返信
    1. ディンゴ 投稿作成者

      まぬかさん

      コメント返信遅れて申し訳ありません。
      おっしゃる通りで、利益が上がるからこそ好財務なのかなと思います。
      株に絶対方程式はなく、流行りの手法がずっと続くとは限りませんが、基本的に「つぶれない会社」で「割安な会社」に投資して
      ジッとすれば10年以内には利益が出るものと思います。

      返信

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