【銘柄分析】InvoCare(IVC) 〔2017年12月期〕

今回はオーストラリア・ニュージーランド最大の葬儀会社であるInvoCareを紹介します。葬儀ビジネスは気がめいる商売ではありますが、投資家という立場からはかなり魅力的です。オーストラリアとニュージーランドはこれまで人口が伸びてきました。ということで葬儀の増加も見込まれており、InvoCare社のビジネスとしては超長期的な追い風が吹いている状況です。

会社概要

オーストラリア・ニュージーランドで最大のシェアを誇る葬儀・墓地・火葬場の運営会社。オーストラリアのシェアは33%、ニュージーランドのシェアは19%となっている。シンガポールでも葬儀事業を行っている。元々アメリカでも事業を行っていたが、近年撤退しており、この3か国に集中している。

2001年、アメリカの葬儀大手サービスコーポレーションが、オーストラリア部門をマッコーリー銀行に売却したことがInvoCareの始まり。2003年にASXに上場(ティッカーはIVC)。

会計年度は1月~12月。現在の株価は10.68豪ドルで、配当利率は4.21%。時価総額は11.8億豪ドル(約900億円)2017年12月期の売上は4.7億豪ドル(約371億円)、純利益は9700万豪ドル(約77億円)。

最近の株価推移は下記の通り。

直近は株価が下落しており、PERは約12倍という状況。

財務諸表分析

Annual Reportより過去の財務データをまとめた。

売上・利益ともに順調に伸びている。ROICは基本的に10%を超えており、高収益である。負債比率は高いものの、その多くが「前受金」である。予約制・前払の葬儀も受け付けており、その前払金が負債(前受金)として計上されている。前払金は5億4千万豪ドルにも達しており、10%を株式、16%を不動産、64%を現金同等物で運用している。

キャッシュフローの推移は以下の通り。

営業CFはずっと黒字かつおおむね毎年徐々に上がってきている。基本的に営業CFの範囲内で投資・財務CFが回っており非常に健全なキャッシュの動きである。

一株当たり利益と配当、そして配当性向は以下の通り。

右肩上がりで一株利益・一株配当金が上がってきている。配当余力はまだまだあるという状況。

ビジネスモデル分析(高収益の要因)

オーストラリアでは33%ものシェアを得ており、棺など資材調達を効率化できている「低コストオペレーション」と、InvoCareは安心できる事業者、という「無形資産」により高収益おを得ている。

特に、葬儀などは人生に一度であり、残された遺族としては「良くわからない事業者」に葬儀を依頼して、酷いことになるようなリスクは避けたいものである。そうなると、大手のまともな事業者に少々高くても葬儀を依頼することになる。

さらにこれは根拠が薄弱ではあるものの、「競合が比較的強くない」という可能性も高い。Propel Funeral Partnersという(やり手の)二番手が居るものの、基本的に葬儀というのは「気がめいるビジネス」であり、MBAを取ってこれからビジネスを広げるぞ!といったガッツのある人間は参入しないものである。

最近の状況

最近の葬儀の傾向として、「宗教色の濃い伝統的な葬儀」から、「宗教色の薄い、もしくは無い現代的な葬儀」を求める顧客が多くなってきている。

顧客ニーズの変化を受け、同社は「Protect and Grow」プロジェクトとして2億豪ドルを用いて既存の葬儀場のリフォームと、顧客が訪れやすい場所に新規の葬儀場を設置する戦略を実行している。

既存の葬儀場は下記のような、暗く古臭いような雰囲気であった。

これをリフォームにより、下記のように明るく現代的にしている。

このようなリフォームを行っている間は葬儀が出来ない。よって、2018年12月期の売上は下がっており、リフォームによるコストもかさみ、おそらく2018年12月期の利益は前年を下回るものとみられる。

一方、2018年の冬の気温は高く推移し、オーストラリアの死亡者数が例年より下回ったため、葬儀数自体が減っており、このことも売上の伸びが抑えられている。(死亡者数が減るのは良いことではあるのだが・・・)

以上のように一時的に売上・利益は停滞しているのいうのが現在の状況である。ただし、会社によると、リフォームの成果は上がっているとのこと。

InvoCareは前払葬儀というビジネスにより、前払金を受け取ってキャッシュを積み上げている。オーストラリアの金融機関は、「葬儀保険」と葬儀費用に備えた保険を販売しているが、政府により「適切な保険ではない」との勧告を受けており(詳細は割愛)、今後葬儀保険の販売は下火になる模様である。このことで葬儀に関する金融の仕組みは、InvoCareとPropel Funeral Partnersなど大手の葬儀会社が提供する「前払葬儀」にほぼ限られることになり、InvoCareにとっては有利な状況となる。

リスク

オーストラリアでは、InvoCareのシェアが高く、消費者は「高い葬儀代に甘んじている」という批判が起こっており、オーストラリアの公正取引委員会(ACCC)による何らかの規制が敷かれるかもしれない。

今後の展開

葬儀産業というのは、非常に細分化されている産業であり、InvoCareはこれまで小さな葬儀会社を買収して会社規模の拡大を図ってきた。

小さな葬儀会社の多くは家族経営で、経営者の多くはベビーブーマー世代、日本でいう団塊の世代で引退を考えている。子供たちの多くは、「気の滅入る」葬式ビジネスを継ぎたいとは思えず、事業承継が進まない。そのような家族経営の葬儀会社をどんどん吸収していったのがInvoCareである。

これまで通り、今後も葬儀会社の買収を進め、規模の拡大を図っていく模様である。さらに、葬儀の単価を上げるために食事・飲み物のサービスなどを拡充を図っている。現在行っているProtect and Growプロジェクトにより、今後10年でマーケットシェアを33%から40%に伸ばすとしている。

今後の人口動態を見ると、死亡者数、すなわち葬儀の数は増える見込みである。

上記の予測のように、オーストラリアでは2050年には現在の2倍以上に死亡者数となる見込みであり、その分InvoCareはじめ葬儀会社のビジネスの機会が増えることになる。InvoCareにとって、事業場の追い風は超長期で吹き続けることは間違いない。

分析を終えて

今回は「気の滅入るビジネス」筆頭である、葬儀ビジネスの最大手InvoCareを紹介しました。上記記載の通り、2018年は売上は伸び悩み・費用が嵩むので、好業績は期待できません。よって、一時的に株価が下がっています。

ただ、人口動態からみて葬儀産業が伸びるのは間違いなく、さらにマーケットシェアが計画通り伸びた場合は、価格支配力も発揮してInvoCareの収益性はかなり高まるのでは・・・と考えています。

というわけで私はImdexを打って、出来た現金の一部でInvoCareを購入しました。

鉱山ビジネスということで、どうしてもシクリカルなImdexよりも、超長期での追い風が期待できるInvoCareを主力銘柄にしたほうがいいかな~と考えています。

今後も豪州リート等からの配当金をInvoCareや二番手のPropel Funeral Partnersなどの買い付けに充て、主力投資先としようかな、と考えています

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